「また壁外調査?」
「あぁ」
「…無茶しないで、なんて言わないけど…生きて帰ってきてね、必ずよ」
「わかっている」
どれだけ危険な目にあったって彼は何でもない顔で帰ってくる
私が泣きそうな顔で見つめても
何も言わずにただ抱きしめてくれる
「あーあ…憲兵になんてならないで私も調査兵になっていればよかった」
「お前はならなくていい」
「あら、戦力外通告?これでも成績よかったんだからね」
「そういうことを言いたかったわけではない」
わかってるわ
あなたの言いたかったことなんてわかってる
けどあんまりにも遠回しに言うから、つい意地悪したくなっただけ
「ナマエ、戻ったら話がある。仕事ついででも構わない。本部に来てくれ」
「?何かしら、ふふ、わかった」
彼の言おうとしていること
いつもなら何となくわかるのに、この時は一体何のことかわからなかった
それが悔しくて、彼が帰還するギリギリまで考えていたけれど、やっぱりわからなくて
そして、いつになく真面目な彼から告げられた
“結婚してほしい”
この一言に、私はただ涙を流しながら頷くことしかできなかった
そんな私をミケは強く抱き寄せて、熱いキスをくれて
もうそれ以上、何も言葉なんかかけてくれやしない
ねぇ、ミケ
あなたって本当に
不器用な人ね
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