「ゆるーり…ゆるり」

雲は今日も穏やかに流れています

変わり映えのない風景

それが私は何よりも好きなのです

「……ゆるり…ゆるり…」

「何だか二人でそんなこと言っていると眠くなってきてしまいますねぇ」

「瑠香、あなたはいつでも眠そうだ」

いつの間にか開いていってしまった薬売りさんとの距離を埋めようと小走りになる

「穏やかっていいですねぇ」

「穏やか…ねぇ…」

「何です?」

「いえ、別に何も…」

「気になりますよ。途中で言うの止めるなんて」

薬売りさんの言わんとしていたことは何となくわかっています

“言ってることとやってることが違う”と

きっとこういうことが言いたかったのでしょうね


「色々裏でやってても穏やかで平和な世界を望むことは悪いことではないではないですか」

「悪いとは言っていませんが…?」

「言いたそうでした」

「それは失敬」


でもあなたと共にいられるのなら

今のままでも良いのかもしれませんね

不謹慎でしょうかね、こういうの

「瑠香…?何を立ち止まっているのです。置いていきますよ」

「あぁ、ごめんなさい。さ、行きましょう」



そして私は今日も


ゆるり、ゆるりと流れる雲に沿って

彼の隣を歩くのです



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