“必ず迎えに行く”

その言葉を信じて一体何年の時が経っただろう

馬鹿みたいに信じ続けた

生きているのか死んでいるのかもわからないあの人を


生きていてほしい

でも


あの戦争で地球人は負けた



両親はあの人ことは忘れて別の人と幸せになってと言う


そんなこと

できるわけなどないのに







「瑠香、暫くの間店番頼めるかい?用事ができちまってねぇ」

「うん、わかった。いってらっしゃい」


色のない世界

活気溢れるこの街の喧騒もどこか遠くのもののように感じる


「はぁ…」


「よぉ、悩み事か?キレイな顔が台無しだ」


特徴的な天然パーマ

死んだ魚ような目


記憶の中の頃と何一つ変わっていない姿


「ま、んなことよりよォ、ここに絶世の美女がいるって聞いたんだが…そいつはどこにいんだ?」

「…生憎ここはそういう店じゃないんでね。女目当てなら吉原にでも行って頂戴」

「そう言うなよ。そいつ瑠香ってんだ、探してんだよ」

「その女に会ってどうするの、金でも積むつもり?」

「いーや、こちとら文無しだ。ただ…約束ならある」

「へぇ…どんな?」

「必ず迎えに行くってな。もう何年も前の話になっちまうが、確かに約束した」

「その女がッ…約束…忘れて…他の男と…幸せになってたら…?」

「それならそれで構わねぇさ。面ァ拝んで帰るだけだ」

「……そこは…奪い取る、ぐらい言いなさいよッ…」

「ありゃ俺の一方的な約束だった。お前ずっと泣いてやがったし…んで、どうなんだよ。もう所帯持ちか?」

「……馬鹿な男をずっと待ってたからまだ独り身」

「そいつぁ良かった。そんな馬鹿を待ってたんだ。お前も大概馬鹿な野郎だ」

「あんたが私を馬鹿にしたの。責任取ってよね」

「責任でも何でも取ってやらァ。お前が俺のもんになるならそれでいい」



本当に馬鹿だ

再会したら言える限りの恨み言でも言ってやろうと思ってたのに

何も言えなくなるなんて







「瑠香、随分待たせちまった。悪かったな」



ほら謝られただけで

もう彼を許してしまう


「瑠香、好きだ。愛してる」


えぇ、私も

私もよ





おかえりなさい



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