その子は突然話しかけてきた。
「ねぇねぇ。転校生の夏目くん、だよね?」
「うん、そうだけど…」
「さっきからずっと木の上をみてるけどなにかみえるの?」
「え…いや、なにもみえないよ」
「ふーん。わたしはね、みえるよ。すごくへんなものが」
「え…!!」
「でもきっとわたしがへんなんだよね。みんなはみえないって言うもん」
「あ…それは…」
「ごめん、おかしなこと言って!また学校で会おうね、じゃあ!」
それが彼女との出会いだった。
結局すぐにまた転校が決まって
彼女とはそれきり。
今思うともしかしたら彼女は俺と同じ風景が…
「あ、ツルツルと牛…」
「また妖怪が学校に来てるのか?」
「あぁ、田沼か。うん、害はないから平気だとは思うけど…」
「そうか。ん?夏目、あの子知り合いか?お前をジッと見てるけど」
「え?…あ」
近づいてくる懐かしいその姿。
「ねぇねぇ。転校生の夏目くん、だよね?」
どこかで聞いた俺の名を呼ぶ声。
そして昔の面影の残る顔。
「さっきからずっと窓の外を見てるけど、何か見えるの?」
「…うん、見える。すごく変な奴らが」
「そっか、私も見えるよ。…同じだね、私達」
「あぁ、同じだ」
この巡り合わせは偶然だろうか。
もし運命だったなら
これほど嬉しいことはない。
← → /
back