薄桜鬼-現代- | ナノ
 



Somebody's me -3-





かちり、とライターの火をつけるとすぐに、ジジっとタバコに火がつく音が耳に届く。

すぐに視界に飛び込んできた、白い煙を息で吹き消しながら、すっかり黄色くなった天井を見上げた。

「あ、ぶねぇ」

はは、っと自嘲気味に乾いた笑みを漏らし、目にかかった髪の毛をかき上げる。

まだだ、まだ、時期じゃない。

焦る自分に、幾度となく言い聞かせた言葉。

目にする度に、狂おしい程の衝撃が体を走り、

目にする度に、その全てが欲しくて堪らなくなる。

まるで全身が、魂が、叫び声を上げているかのように。

「今でも、こうも狂わされちまうとは、な」

彼女が出て行った扉に向かって苦笑を漏らしながら、原田はタバコの火を灰皿に押し付けた。




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今回この話かくにあたって。
EnriqueさんのSomebody's meがテーマとなっております。
良い曲ですよ〜しんみり。


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