Somebody's me -3- かちり、とライターの火をつけるとすぐに、ジジっとタバコに火がつく音が耳に届く。 すぐに視界に飛び込んできた、白い煙を息で吹き消しながら、すっかり黄色くなった天井を見上げた。 「あ、ぶねぇ」 はは、っと自嘲気味に乾いた笑みを漏らし、目にかかった髪の毛をかき上げる。 まだだ、まだ、時期じゃない。 焦る自分に、幾度となく言い聞かせた言葉。 目にする度に、狂おしい程の衝撃が体を走り、 目にする度に、その全てが欲しくて堪らなくなる。 まるで全身が、魂が、叫び声を上げているかのように。 「今でも、こうも狂わされちまうとは、な」 彼女が出て行った扉に向かって苦笑を漏らしながら、原田はタバコの火を灰皿に押し付けた。 **** 今回この話かくにあたって。 EnriqueさんのSomebody's meがテーマとなっております。 良い曲ですよ〜しんみり。 >>back |