Thnk you! | ナノ
 


メカノ様のルピカ嬢とビーをお借りしてかいちゃいました。夢主コラボ!thanks めるこさん(´∀`)





粉砂糖の夢





『おはよう、雪菜』
「おはよう、ビーと……ええっと?」
『あ、そっか。雪菜にはまだ紹介してなかったね。彼女はルピカ、僕の大事な人』
「えっ」

そう言いながら紹介されたバンブルビーの肩に乗りながら可愛らしく微笑む女性に、雪菜は目を瞬かせた。
雪菜が知る限り、彼女を見たことは勿論なかったし、身なりからしても一般の民間人に違いない。
けれども、慣れたようにバンブルビーの肩に乗り、そして雪菜にも馴染みの深いクッションを手にしている事、それからバンブルビーがたった今述べた言葉に雪菜は目を見開いた。

「初めまして、雪菜さん」
「あ、えっと、初めまして、ルピカさん?えっと、私の名前、」
「実は、ビーからよく聞いていたんですよ」

ジャズの彼女さんですよね、とにっこりと笑うルピカに、雪菜は思わず言葉をなくしてしまう。
一体何から突っ込めばいいのか、そう思案していれば不意に、雪菜の身体がふわりと持ち上げられる。
それに驚いて後ろを振り返れば、見慣れたバイザー姿の恋人の姿で……更に、ルピカが”久しぶり、ジャズ”なんて言葉をかけるものだから、雪菜は説明を求めるようにジャズの顔を見上げた。

『よう、ルピカ。久しぶりだな』
「え、ジャズは知り合い?」
『まぁ、そりゃな』
「……私だけ知らなかったの?」

もぅ、と少し拗ねたように頬を膨らますと、ジャズが小さく笑いながら雪菜の髪を優しく撫でる。
別にバンブルビーに彼女という存在を問いかけたことも無かったし、あえて報告を受けるまでもない事だけれども。
それでも、”自分と同じ境遇”に居るルピカを改めて振り返り、雪菜は息を整えながらにっこりと微笑んでみせた。

「取り乱しちゃってごめんなさい。全然知らなくて、びっくりしちゃって」
「私も、初めてビーから聞いた時は本当に驚いたんですよ。ずっと会ってみたいってビーにいつもお願いしてたのに」
「何か問題でもあったの?」
「それが、」

少しだけ苦笑を交えて語るルピカに、雪菜が首を傾げる。
自分より若い彼女が軍という場所に足を踏み入れる事を不安に思ったのだろうか、それとも学生に見える彼女の本業が忙しかったのだろうか。
何やら言いよどんでいるルピカの口元に、途端にバンブルビーの大きな手が翳される。
その隙間から顔をだして、悪戯っ子のように笑うルピカは、内緒話をするように少しだけ声のトーンを落として言葉を発した。

「……ジャズが、かっこいいからって」
「へ?」
『ルピカ!』
「ジャズに惚れちゃわないかって、ビーがなかなか連れてきてくれなくて。ジャズは雪菜さんにメロメロだってアレほど自分で言ってるくせに」
『そういえば、ルピカと喋ったのって、結構前だよな。ビーが会いに行ってたのは知ってたけど。つか、しょうもない事気にしてるんだな、ビー』
『ルピカ酷いよ!こんな所でカミングアウトしなくなって!』

カメラアイを大げさに潤ませるバンブルビーに、ルピカが”ごめんね”とバンブルビーの頬に手を伸ばす。
それに顔を背けるバンブルビーに、ルピカが困ったように眉を下げて、それからバンブルビーの集音センサがあるであろう耳元らへんに顔を寄せ、小さく何かを呟いた。
勿論雪菜には聞こえなかったけれども、ブルーのカメラアイがじとりとルピカを眺めて”そう言えば解決すると思ってるんでしょ”と恨めしそうなバンブルビーの様子に、雪菜は笑みを零した。

「ねぇ、二人はどうやって出会ったの?」

そう雪菜が問いかければ、バンブルビーとルピカが顔を見合わせる。
”それではお聞きいただきましょう””愛の物語”なんてラジオから流したバンブルビーに、ルピカはくすくすと笑いながら少し宙を仰ぎ見てから、何かを思い出すようにブルーの瞳をツイ、と泳がせた。

「どこから話したらいいのか・・ちょっと長くなっちゃいますけれど、」
「うん、大丈夫!」
『ほら、クッション。座っとけ』
「あ、ありがとうジャズ」
『ルピカも座ったら?』
「じゃあ私もクッションあるし、座るわ」

差し出されたクッションを両手で受け取り、そのままジャズの肩へと雪菜がよじ登る。
いつもの低位置に落ち着いた雪菜は、バンブルビーの肩に同じように落ち着いたルピカへと視線を向けた。

「やっぱり、クッションは必要だよねぇ」
「意外と座る所に困っちゃって」
「わかるわかる、ああ、こんな共感できる人がいるなんて嬉しい。ええと、ごめん、それで?」
「あ、うん。それじゃあ、”お聞きください”」

そうして紡がれた話を、雪菜は時間を忘れて夢中になって耳を向ける。
自分がジャズを助けている最中に、まさかそんな事が目の前の少女に起こっていたなんて。
目が覚めたら病室でした、な状態の自分とは違って、彼等と共に戦っていたルピカに、雪菜は尊敬の眼差しを向けた。

「凄いね、本当に」
「凄くなんてないですよ。たまたま、流れに身を任せていたらってやつです」
「それでも、何ていうのかな、羨ましい。私も2人みたいになりたいなぁ」
『どうして?』

ぽつり、と零した雪菜の言葉に真っ先に反応を示したのはバンブルビー。
”雪菜にはジャズがいるのに?”と不思議そうな声色で問うてくる黄色いミツバチに、すぐ隣にいるジャズも興味深そうに自分を見ている事に気がついた。

「そのまんまだよ。戦場でジャズと一緒に戦いたい。そしたら貴方の事、もっと知れる気がする」
『おいおい、勘弁してくれ。スパークがいくつあっても足りない』
『そうだよ、俺だってルピカが戦場に一緒に行くなんて大反対に決まってるでしょ、でも』
「でも?」

今度は雪菜がバンブルビーに問いかけると、視界に入るルピカの表情に若干の気まずさの影が過る。
ええと、その、とルピカが気まずそうにバンブルビーを振り返れば、彼は態とらしく黒い排気を背後から漏らしナがら、首を大げさに振ってみせた。

『ルピカは俺の言うこと、破ることが趣味みたいなもんだからね』
「そんな事ないよ!ちゃんとビーの言いつけ、守ってるよ!」
『そう言いながら、こないだも大怪我負ったのはだーれ?俺のメモリが間違っていなかったら、今一番近くに居る人なんだけどね?』

ずい、とルピカに顔を近づけたバンブルビーに、ルピカが思わず小さくなるのが雪菜から見える。
バンブルビーは怒っている素振りを見せながらも、何だかんだで大切な人ーールピカの頭を優しく撫でている、そんな二人が微笑ましくて、雪菜はジャズの顔へと身体を傾けた。

「次からは、気をつける」
『絶対だよ?……まぁ、何があったって、ルピカは俺が守るけど』
「もう、ビーったら人前で、」
「わぉ、ビーかっこいい」
『ジャズだってそうするでしょ?』

至極当然のようにバンブルビーが小首を傾げて問えば、ジャズもまた当たり前のようにこくりと頷いてみせる。

『当たり前だろ、俺以外に誰が雪菜を守るってんだ?』

そう言葉を紡いだ彼等に、雪菜とルピカは顔を見合わせて二人して頬をピンク色に染めて笑いあった。







「ーーーって夢をみたの!」

場所は変わって、日曜の朝。
今日は郊外にデート、と前々から約束していた通り、朝一に雪菜を迎えに来たビークルモードのジャズの車中に飛び込んですぐに、雪菜は興奮気味に昨夜観た夢の中での出来事をジャズに話し聞かせた。

『へぇ、それはまた面白い夢だったな』
「びっくりしちゃった、ああ、本当に夢だったのかなぁ」

それは本当にどこかリアルに感じる、不思議な夢だった。
普段は夢を見ても、起床する頃にはぼんやりとした記憶しか残っていないのに、今朝に限ってはやたら鮮明に覚えている。
本当に夢だったのか、と何度も自問自答しても、記憶をたどっていけば行き着く”夢”という事実に少しだけ心に寂しさが過ったが、それでも、覚えてる限りの感動をジャズへと伝えた。

「ルピカさんもすごく可愛くて、それでね、バンブルビーがカッコ良かった!」
『ほぉ?』
「普段はどっちかっていうと弟キャラなのに、それでもね、ルピカさんの事を見つめる様子とか、頭を撫でる様子とか、”ルピカは俺が守るんだ”って堂々と言えるところとか!もうね、すっごく格好よかった!」
『お、噂をすれば』

その言葉に、フロントガラスへ顔を上げれば、すぐに近くに見えるのはイエローのボディに朝日をいっぱいにあびたバンブルビーの姿。
こちらに気がついた彼は、ぶんぶんと手を振りながら、雪菜達の元へとやってきた。

『おはよう、ジャズに雪菜』
「バ、バンブルビー!」

ジャズが開けた窓から顔を出すと、つん、とバンブルビーの指先が雪菜の頭を撫でる。
それにトクン、と雪菜の胸が高鳴ったのには気がつかないフリをしながら、ピカピカに洗車が終わった後に見える彼を雪菜はまじまじと見上げた。

「どこかに行くの?」
『うん、ちょっと外におでかけ。外出届けは出してるでしょ?』

そう言いながらどこか楽しそうなバンブルビーは、彼の背面についている羽を二・三回羽ばたかせて見せる。
確かに数日前からバンブルビーの書類を受け取ったし、きちんと許可もおりている。
何だかうまくはぐらかされた行き先も、普段ならば余計な詮索なんてしないけれど

「ねぇ、どこに、」
「じゃあまたね!”よいデートを”」

颯爽とビークルモードにトランスフォームしたバンブルビーの姿が、みるみる小さくなる。
結局告げられなかった行き先に、まさか、と若干の期待を込めてバンブルビーのイエローを瞳で追っていればーー……

『あーあ、俺の恋も短かったなぁ』
「、急に何言ってるのよ」
『心拍数が高いぞ……ビーに対して。へぇ、そっか、へぇ?』

意味深にカーステレオから聞こえてくるジャズの悲しそうな声色に、雪菜は居心地悪そうに視線を彷徨わせる。
決してバンブルビーに惚れた訳ではないが、夢の中の彼がどうしても頭の中から離れないのは仕方がない。

「ち、違うもん、ジャズの事好きだよ、すごく好きだもん!ビーはちょっとその、あの、ときめいただけで、」
『じゃあまずは説教からだな、今日のデートは』

ブォン、とワザとらしくエンジンを吹かせたジャズに、雪菜は笑いながら謝罪の言葉を述べながらハンドルを握った。





ーーねぇ、ビー聞いて!すごい夢見ちゃった!

時刻は同じだが、どこか遠い遠い世界で、ブロンドヘアーを靡かせた少女が、カマロを見上げてニッコリと微笑んだ。





****
ツイッター仲良くしてもらってるめるこさんのご好意に甘えました!
いやはや、ルピカ嬢可愛いよ、バンブルビーがイケメンだよ……!
柑咲クオリティが残念さを物語ってますが、自己満です、ありがとうございます(`・ω・´)!
>>back