Thnk you! | ナノ
 



ぺたり。ジャズの足に熱をもった何かがくっついた。
くっついた何かはぺたぺたとジャズの足に触れる。

「じゃずー」

間延びした声がジャズを呼んだ。
見下ろせば、にこーっと可愛らしい笑顔がこぼれ、ジャズも自然と笑顔を浮かべた。

≪よう、雪菜、今日も元気だな≫
「うん!じゃずもげんきだね」
≪勿論≫

雪菜はジャズから離れると、床に座り込む。それに合わせて、ジャズも隣に座り、彼女を見下ろした。
髪にピンク色のリボンがついてるのを見て、ジャズは≪おっ≫と声をあげた。

≪今日はリボンつけてるんだな。可愛いな≫
「えへへ、ありがとー」

雪菜は照れた様子で、毛先をくるくるといじりはじめる。
そうして、上目づかいに「これね、かーりーおねえちゃんがくれたの」と呟いた。
ごく稀に、NEST基地にサムたちが度々顔を出しにやって来る。
ミカエラやカーリー、アリスに至ってはほぼ週に一回のペースでここに――いや、雪菜に会いに来ているくらいだ。
彼女らはくる度に雪菜はお菓子や玩具、服といった贈り物を持ってくる。
そうして、三人による雪菜の着せ替え大会が繰り広げられるのだ。
そういえば確か今日も彼女らが来ていたはず…とジャズは思いだし、そうして悟った様子でニヤリと笑った。

≪…もしかして、疲れて俺ンとこに来たのか≫
「…えへへ」

図星だったらしく、雪菜は悪戯っ子のようにちろりと舌を出した。
あの3人に着せ替え人形にされ続ければ勿論疲れるだろう。
ジャズも何度かその様子を見たことがあったが、あれに付き合っていられる雪菜は勇者のようにさえ思えた。

≪オネェちゃんも、お疲れ様だな≫

ジャズはぽんぽんと雪菜の頭を撫でてやる。
すると、雪菜はパッと表情を明るくした。嬉しそうにほんわかと笑うと、「もういっかい!」とおねだり。
いったい何が彼女のお気に召したのかよくわからず、ジャズはきょとんとした表情で雪菜を見下ろした。

≪…オネェちゃん、ってか?≫

しばらく考えてからそう尋ねれば、雪菜は「うん!」とこっくりうなずいた。
トランスフォーマーたちは勿論、NEST基地の人間たちにとっても雪菜は幼い子供だ。必然的に子供扱いされる。
ジャズの『オネェちゃん』呼びは(ジャズ自身はそんなつもりはないのだが)大人扱いされているようで嬉しいのだろう。

≪オネェちゃん≫
「えへへ」

もう一度そう呼べば、雪菜ははにかむように笑って、もじもじしはじめる。
≪ん?≫と顔を覗き込むと、雪菜は「あのね」と呟いた。

「じゃずって、すてきだなぁ!っておもったの!」
≪!≫

キラキラとした笑顔にジャズは一瞬息をのむ。
きっと他の女性に言われたなら、≪今頃俺の魅力に気付いたのか?≫などと茶化せただろうが、雪菜の言葉には表裏がない。
子供であるからこその真っすぐで純粋な言葉に、ジャズのスパークはきゅんっと音を立てた。

ふと。ジャズは思う。
彼は今までたくさんのトランスフォーマーたちを殺してきた。
そしておそらく、闘いの最中、意識していないところで人間たちを傷つけたこともあるだろう。もしかしたら、死なせた時もあるかもしれない。
彼は思わず雪菜に触れていた手を、そっと離した。

≪…雪菜≫
「なあに、じゃず?」
≪……俺のこと、嫌いにならないでくれよ≫

俺らしくもない。そう言ってから、ジャズは思った。
雪菜はきょとりとして見上げている。
誤魔化すように笑えば、雪菜は小さく首を傾げた。

「きらいになるわけないよ」

だって、じゃずはやさしいし…と、雪菜はジャズの好きなところを拙い言葉で一つずつ上げていく。
その言葉を聞きながら、ジャズは思う。
いつか雪菜が大きくなって、全てを知ったその時も「ジャズが大好きだ」と笑ってくれればいいな…と。

「ほかにもいっぱいいっぱいすきなところあるよ!じゃず、だいすき!」
≪ああ、俺も雪菜が大好きだよ≫
「……おねえちゃんは?」

普段の雪菜ならここで嬉しそうに笑うだろう。予想外な言葉に、ジャズは大きく目を見開く。
ジャズの少し鬱々とした気分はあっという間に吹き飛んでしまって、なんだか彼は穏やかな、微笑ましい気持ちになった。

≪はいはい、あまえたがりのオネェちゃん≫
「……むぅ、ちょっとちがう…」

雪菜はぷっくりと頬を膨らませた。
思わずぷっと噴き出すと、ジャズは優しく雪菜の頭を撫でた。
いなくなった雪菜を探すミカエラたちが、ここにやってくる3分前のことだった。





オネェちゃんって呼んでほしいの





(雪菜!ようやく見つけたわよ!)
(えへへ…みつかっちゃったぁ。じゃず、またあとでね!)
(おう、がんばれオネェちゃん)
(!…うん!)




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『breeze*』様、この度は相互ありがとうございます!^^

初の幼女とジャズ!
ジャズは幼女をいっぱい女の子扱いしていて、彼女もそれが好きで気に入っていたらいいなあという妄想の産物です←

気に入っていただければ幸いです!^^
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『桜並木』の管理人様、ユキ様より強奪……違う、頂いてきました(*´д`*)
ユキ様宅の”可愛いは正義”に心を打ち抜かれて早幾月……相互記念という事でちゃっかり遠慮もなくリクエスとしてしまいましたジャズ×幼女!幼女!(はふはふ)
小さくてもしっかりとレディ扱いするジャズさすが!さすが!
幼女萌えは勿論の事ですが、個人的には源氏物語計画が好きでたまりません(あ
大きくなった雪菜ちゃんとジャズの関係を妄想してヌフフ(* ´v`)

ユキ様、この度は素敵なお話をありがとうございました!
これからも末永く宜しくお願いしますモジ(((´ω` *)(* ´ω`)))モジ

13/05/2012 柑咲春菜
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