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(6)クロスヘアーズ



いくらオートボットという存在が世間に認められようとも、非難や批判は常に伴う。現に、と雪菜は目の前に現れた厳しい表情を宿した軍服姿の男たちに、思わず足をすくませた。

「オートボットのクロスヘアーズだな?」

そう、威圧的に問いかけてくる男は、恐れを見せることもせずに、はるか上空にある彼のカメラアイを鋭く射抜くように見上げた。

「…人に名前を尋ねる前に、ってMamaに習わなかったのか?」

いつもより幾分か低い声色で答えたクロスヘアーズは、足元で怯えた表情を浮かべる雪菜を自身のマントの中に匿うように引き寄せながら、銃にかけていたトリガーを金属の指の腹で撫でた。

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