(3)クロスヘアーズ 「いつも子供扱いして!」 ムスっとしながらクロスヘアーズを見上げた雪菜は、不満いっぱいに腰に手を当てながら頬を膨らませた。確かにサイズ的には全く敵わなければ、生きていた時間軸だって違う。 「俺達から見たらお前らみんな子供みてぇなもんだよ」 そう言って笑いながら屈んだクロスヘアーズの手が、器用に雪菜の髪の毛を撫でる。そんな彼の仕草ですら、仮にも成人している自分が子供扱いされている様に感じて、雪菜は不服そうにクロスヘアーズの濃いブルーのカメラアイを視線で射抜いた。 「地球時間では私の方が先輩なんだからね!」 「オーケイオーケイ、お嬢チャン」 くつくつと笑うクロスヘアーズは、まるで雪菜の小言を楽しむかの様に眺めては口の端のパーツを上げる。もう、と雪菜がそんな彼の金属の手を振り払おうとしてーーきゅ、と器用に、雪菜の小さな手を包み込んだ。 「だから、俺にお嬢チャンを守らせてくれよな?」 思わず声を失って見上げたクロスヘアーズの、普段は見せないような微笑みに、雪菜の頬が赤く染まり上がる。そんな彼女をまた楽しそうに見つめたクロスヘアーズは、スパークに一つ、誓いを宿した。 (Thanks 小田部ぱすた様) *** >>back |