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(1)ガルバトロン



「メガトロン」

そう言ってこちらに微笑みを向ける雪菜に、ガルバトロンのスパークが複雑に揺れる。この女は、"メガトロン"が贔屓にしていた人間だという認識はある、だからスパークが温かく揺れる、そう自分に言い聞かさながら、ガルバトロンはその柔らかな頬を爪先で撫でた。

「もう離れないでね、何処にも行かないで」

そう囁くように言葉を紡ぎながら、爪先にキスを落とした雪菜に、ガルバトロンは不意に走ったギチりとした痛みに爪先を止めた。

「…俺は、」
「好きよ、貴方が…メガトロン。もう私を一人にしないで」

ぎゅ、と抱きつくその心地の良い、否、不愉快な熱に、ガルバトロンはカメラアイを細めた。

……"俺"は、と。

***
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