![]() (10)スタースクリーム 「すたすく、スタスク!」 『勝手に略すな、踏み潰すぞ』 「またまたー、そんな事しないって知ってるよ?」 クスクスと笑ってスタースクリームを見上げれば、彼は不満そうにエンジン音をかき鳴らす。 ブンッと足を試しに雪菜の上に振りかざしてみても、雪菜は相変わらず笑顔でスタースクリームを見上げたまま。それに何か負けたような気がしてカメラアイを反らせば、生暖かい熱が足の甲に伝わってきた。 「ねぇ、またタトゥー増やしたの?」 『…急になんだ』 「その腕のとこ!そこにはそんな文字は無かったよ?」 そう指さされた先に、心当たりがありすぎて、スタースクリームが咄嗟に足を一歩引いてひまう。 何故気がついた、サイバトロン語など人間にしてみればただの象形文字にしか見えない筈なのに、とスタースクリームは足元の小さな雪菜を見下ろした。 『…前からあっただろ』 「えー、無かったって」 『メモリ機能なんてないだろうお前に』 「そうだけど、…スタスクの事だもん、分かるに決まってる」 少しだけ声のトーンを落として、雪菜が嬉を含んだ声色で答える。 加えて、へへ、と比較して10%程赤くなった頬に、スタースクリームは思わずオイルを詰まらせた。 「ねぇ、」 『…勘違いだ』 「え、ちょっ、わっ!!」 雪菜が督促するように彼の足をコツンと叩いたその瞬間。 ぶわり、とひときわ大きく吹いた風に髪とスカートを抑えている間に、先程までそばに居た彼が姿を消す。 代わりに聞こえてきた轟音に、雪菜は不満そうに不意に飛びだって行く彼を見上げた。 「何よ、教えてくれてもいいのに」 ーー新しく掘った名前が、雪菜の名前だなんて。恥ずかしくて言えるわけがない! *** >>back |