(9)ジャズ 「雪菜?いるか?」 ぼんやりと窓から外を眺めているように見えた雪菜に、ジャズが声を掛ける。されども、返事も反応も全くない彼女に少しばかりの不安を覚えて、再び雪菜の名前を呼びながら肩をぽんと叩いた。 「お……、なるほど」 そっと顔を背後から覗き込んでみれば、瞳を閉じてすやすやと静かな寝息を立てる彼女の姿。いつもは自分を真っ直ぐに見つめる感情豊かなその瞳も、今は少しばかりの休息中のよう。 「こんなとこで寝てたら風邪ひくぞ?」 と、ジャズは静かにくすりと笑いながら、近くにあったブランケットをかけ、彼女のこめかみに優しいキスを落とした。 「どうか俺の夢を見ていますように、ってな」 肩を抱いて、彼女の小さな頭の重みを自身に重ねる。そして巡ってきたチャンスにジャズはスパーク内でガッツポーズを取り、カメラアイの録画機能をONにした。 *** >>back |