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(8)メガトロン



サウンドウェーブは硬直した。一体自分の回路に飛び込んできたこの光景が本当に起こっているのか、と。事の発端は頼まれていた仕事を早々にやり終え、依頼主である主に回路を通じて送ろうとした時。何百年、何千年、何万年単位で常に開いていたその回路が、何故かオフラインになっている。瞬時に主の執務室の監視カメラの映像を探るが、ここもまた何者かによって妨害されているではないか。そうとくれば、と自分のスキルをフルに活用して膨大なトラップをくぐり抜け飛び込んできた監視カメラの映像をに、サウンドウェーブは一言も発することなく、文字通り言葉を失った。

「メガトロン!何度言えばいいのよ!」
「いや、しかし」
「しかし、じゃないわ!」

ぴしゃりと言葉を被せて言い放ったのは、メガトロンの人間界での嫁にあたる人物、雪菜だ。何やら酷く憤慨した様子の彼女は…事もあろうか、メガトロンを正座させてその前で彼を見下ろしているではないか。

「こんなに服を買って、どこに着ていくの!」
「し、しかし、お前に似合うと思って、特別に、」
「1着で十分なの!100着もいらないわ!」

そう言いながら、すぐ側にある恐ろしい数の箱を指差した雪菜は、メガトロンにズイと顔を近づけた。

「我が家はね、節約、倹約なの。老後の蓄えをしないといけないって何度言えば!」

仮にも己の主、否、この広い宇宙に部下を何万と持ち、その頂点に君臨しているメガトロンが、小さな有機生物の前で正座をさせられているなんて、と何度も自身の回路を確認はしたが…悲しいかな、今繰り広げられている"折檻タイム"はどうやら現実だ。そのやり取りにサウンドウェーブはインターネットで古着回収を検索しながら、そっと、自分が入った時よりもさらに強固な妨害を構築してから監視カメラの回路を切った。

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