バナナはおやつに入らない


マリオ視点


目の前にそびえるは幾多の勇者を葬ってきた難攻不落の魔王城。…ということにしておく。

「この世界」に前勇者はいないだろうが設定上この城は何人もの勇者とその愉快な仲間たち…否、パーティを葬り去っている筈である。設定上。

マリオ「まさかこんなあっさり…」

ピカ『だな。オレなんか長期戦覚悟で電気ちまちま溜めてたんだぜェ』

マリオ「折角RPGなんだからもっとRPGっぽいことしたかった」

いきなり魔王城じゃなぁ…

…アレか。

最初に魔王に敗れて再起するやつ?だがここで敗れたら何処から再起するというのか。修行するとこも無さそうだし。

まさかの「魔王城で修行」とかはないだろうし。

ピカ『魔王城で修行は無謀じゃねェ?』

マリオ「おまっなんでさっきから視点読むんだよ」

ピカ『ここはRPGだ。そしてオレは妖精だ。RPGは勇者視点で進むから仲間は視点読めるんだよ』

マリオ「妖精関係ないからな」

ここでぶつくさ云っ…考えてても仕方ない。

マリオ「正面から乗り込むぞ」

いやにでかい魔王城の扉を開けた。

ぎ ぎ ぎ ぎ

マリオ「!」

扉を開けた先、見えたものそれは…

マリオ「玉座…」

いきなり玉座だった。

マリオ「えぇぇぇ…」

魔王城ってさぁ…色んな仕掛けといたり最後の四天王がいたり魔王は最上階とか最下層にいるもんだろう。玉座ってお前…

「来てくれたのね!」

あっ姫忘れてた。一体誰だ…他にスマメンで女は姐さんとリコとナナ…くらいだよな。

ピカ『性別不明多数。』

マリオ「バナナはおやつに入らない!」

ピカ『さいで』

※例えの解説
バナナ=性別不明
おやつ=女性の方々

「助けて勇者さま!」

声の方へ向く。

マリオ「大丈夫かひ…」

停止。

「どうしたの勇者さま?早く魔王をやっつけて私を助けて!」

マリオ「……ぬ ぁ ー にやってんだコノマスタァァァ!!」

どがしゃーん!

マスター「ギャアアアア!」

俺の一撃は玉座ごとマスター…「姫」をぶっ飛ばした。

マリオ「はーはー…う、裏声マスター…」

この裏声マスターには「裏声のマスターハンド」と「裏声マスターした方」という二つの意味が込められている。

ピカがすいっと飛んできた。

ピカ『終わったな…オッサン…飲み、行こうぜェ』

マリオ「あぁ…そうだな」

こうして勇者は、姫に化けていた創造主を倒し世界に平和をもたらした。

めでたし、めでたし。




マリオ「…なんか忘れてないか」

ピカ『そうかァ?マスターぶっ飛ばしてめでたしじゃねェか』

マリオ「そもそも創造主倒す話だっけ?…あ!」

ピカ『いつの間にか話題がすり替わってんじゃねェか!』

マリオ「なかなかやるな…!」

ピカ『あん?オッサン誰に向かって…』

マリオ「なんでもない!魔王探すぞ!」




よかった。こいつはこいつだけはまともな良識を持っていた。

ワリオ「ガ ッ ハ ッ ハ !遅かったなマリオ!」

セオリー通り最上階にいたのはスマブラ界最後の良識ワリオだった。

俺はワリオに駆け寄り手を握る。

マリオ「ありがとう…!最後にRPGらしいこと出来た!」

こんなくだらないオチをぶっ壊してくれてありがとう!お前救世主だよ!

ピカ『礼を云うぜ!』

ワリオ「え?いやそんな礼を云われる程では」

マリオ「そんじゃっ死んでくれ!」

ワリオ「…はい?」


勇者というものは悲しいものである。大切な者を奪われ、放り出され、国から追われ、逆境を乗り越え、時にはどん底まで突き落とされる。だが、それでも勇者は立ち上がる。何故ならそれが、「勇者」の性だからだ!
参考文書「勇者の理不尽(ネロ著)」

マリオ「なんだこのオチーっ!!」

ちなみに世界は救われた。




バナナはおやつに入らない!を云わせたかった。
09.7.13

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