::おしゃれ1::


視点なし


「わ、きれいな服!」

遠くにいたクリスチーヌに軽く手を振ったここは首を傾げた。

トコトコと寄ってきたクリスチーヌはここの身に付けている服と帽子を指差す。

「ここちゃんの着てるやつ。じゅんぱくのドレスとじゅんぱくのヴェールでしょ?グレイシーグレースじゃん!」

今のここはじゅんぱくのヴェールにじゅんぱくのドレス、靴も白、という具合に白で統一されている。夏だったからか髪の毛は青だが。

以前あった夜中の白いオバケと云い、ここは白が好きなようだ。

「アタシも欲しいんだけどさー高いよね!」

そこでクリスチーヌは気付いた。

「…あみ?」

ここの手に握られているぎんのあみ。今のここの格好には絶対に似合わないものだ。

キュ、とここの口が引き締まる。何事かと身構えた直後クリスチーヌの真横をものすごいスピードで振り下ろされたものがあった。

「こ、ここちゃん…」

あみである。

ごそりごそりとあみを探るここに冷や汗を流しながらクリスチーヌはおずおずと声をかけるとここがにっこりと笑いながらコオロギを見せた。

その格好であみを振るうのは如何なものか、そう訊ねたいが果たしてこれは彼女に訊ねて良いものか、彼女はよくわからないところがあるから気に障るかも知れない、と判断のつかないクリスチーヌは「良かったね…」とぎこちない笑みを浮かべるしかないのである。


かわいいよね。
11.9.1

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