「エメロード。」
石像の手にあるエメラルドを見てYOUは呟いた。
迷った先で見付けたそれは先日YOUと瑠璃が魔法都市で探していた珠魅の成れの果てである。
そしてその珠魅の核を大事に握る石像、それはあの時YOUがすれ違った人物だ。
「…血のにおい エメロードだったんだ。」
彼は思った、瑠璃がいなくて良かったと。瑠璃がいたらこの石像もとい人間は粉々に砕かれていただろう。
珠魅のために涙するもの、全て石と化す。
この人間が石像になっているということははエメロードのために涙を流したということだ。
「泣いたんだ。」
YOUは石像に話し掛ける。当然だが答えはない。
「あなたはエメロードを殺して涙を流した。エメロードを殺したことに対して後悔したんだよね。」
ふう、と疲れたように短く息を吐く。彼は普段あまり喋らない。
「あなたは間違ったよ。」
背を向け、歩き出しながら呟いた。




10.6.23
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