「クレ兄ー!」

にこにこしながら駆け寄ってくるのはこの前より幾分か背の伸びた俺の片割れ。

「どうしたマスター」

すると片割れは得意気に指を鳴らす。ぱちん!という乾いた音と共に現れたのは画用紙。

「創ったもの、まだ上手く形にならないから絵に描いてはっきりイメージさせてからなら上手く行くかなと思って」

差し出されたそれはほぼ黒で塗り潰されていた。そして真ん中に浮かぶ白い球体…おそらく太陽だろう、その証拠に全体に白い点が散りばめられている。これは星か。

…そして下部にある白い一本の線。

なんだこれは

片割れの表情を伺うと、目をきらきらさせて「どう!?」といった期待に満ちた顔。

「あー…これは宇宙か?」

「うん!そうだよ!!」

「なんでまた」

「宇宙がないとせかいが…星が創れないでしょ?」

成る程そういうことか。最近図書室に閉じ籠っていると思ったら…背が伸びたのはそれだな。創造主として成長していくにつれ背も伸びるんだろう。

「それで…この一本の線は一体…」

「終点!」

「終点?」

「ぼくたちがいるとこ」

「…?」

「「みんな」にはね、色んなせかいを巡ってもらう。それでーゴールがここ!ぼくたちに勝ったらゴール!そういうゲーム。…どうかな?」

俺は少し不安げに訊いてくる片割れの頭をわしゃわしゃと撫でる。

「いいじゃないか。これは楽しそうだ」

すると片割れは意外そうに目を見開いた。

なんだその反応

「クレ兄笑ったのはじめてみた」

「…そうだったか?」

「うん!これ以上無いほめことばと受け取った!ぼく頑張るね!」

背を向け走り出す片割れを見送りながら、ふと疑問が浮かぶ。

「色んなせかいって…どのせかいだ?」




10.1.31
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