後書き


 リィン・シュバルツァーの幸せって何だろう。

 Vの結末を呆然としながら見届けた後から、そんな事をずっと考えていました。が、これを書いた後でも結論は出ず。
 見失いかけて、探す為に踏み出して、掴んだと思ったら大事なものが崩れ去って、それでも出来る事を模索して駆け抜けたけど、追いかけていた存在を腕の中で亡くして、心を擦り減らして、そんな状況でも繋がる光のおかげで新しい道へと歩んで、ここなら……と、なった矢先のVの結末。嘆きのリフレインを聞いた時は、こっちの心の中に黄昏が来ていました。確実に。
 色々と与えられていますが、色々と奪われすぎだと思います。平穏は何処に。
 教官って、リィンにとって天職だなと思いました。Wの物語が無事に終わった後は教官に戻って欲しいのですが……第二分校は元に戻れるのか。エレボニア帝国が崩壊しそうな気がして、現時点ではWの後の帝国の様子がまったく想像出来ません。分校長であるオーレリアは離脱扱いになっているし、利用されたとはいえ生徒が皇帝を撃ってしまっている。リィンには(新)Z組の子たちの卒業を見届けて欲しいな、とは思うのですが、叶わぬ夢なのか。見たいです切実に。
 クロウに関しては、デッドオアアライブ、どちらに転んでも受け入れる気でいるとツイッターなどでもぼやいてはいますが、どうなったって頭抱えます。またお別れになっても、生き残っても、コントローラー置いて蹲ります。なので、飾らないかっこいい男で居てくれれば、もうそれでいいです。……と、自分に言い聞かせてWを待っています。

 タイトルは、リィンが「Z組の未来を夢見る」というところから引っ張って付けました。今回はリィティナ寄りにしたかったので、新Zに偏ってしまっていますが。

 以下は補足のようなものです。

挿し絵中のクロウの衣装
→こちらはキツラさんにデザインしていただいた教官衣装です。クロウらしさがありながら、リィンと並んでも違和感がない……そんなざっくりとした感じでオーダーしたのですが、完璧すぎるデザインが……ふ、副教官……!

最後のページの写真
→解釈はお任せします。描いた夢のその先です。


 閃の軌跡という作品に陥落してからもう少しで四年。長かったような短かったような……という感じですが、泣いても笑ってもこれが最後。リィン達の物語を見届けて、心の底から「プレイして良かった」と思える作品である事を祈りつつ、コントローラーを握ります。
 前回に引き続き、カバーイラスト・挿し絵・栞のイラストを引き受けてくださったキツラさんには感謝してもしきれません。本当に、本当にありがとうございました。
 「一番好きなゲームは?」と聞かれたら「閃の軌跡です」と答えてしまうくらい、閃が好きです。大好きです。こういうのを前も書いた記憶がなくもないですが、何度でも好きだと言いたくなるような作品です。

 Z組の行く先に、帝国の夜明けがありますように。そして、リィン・シュバルツァーの未来に幸あれ。


▼あとがき2
 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
 リィンとアルティナが主役の話! というのは勿論最初に決まった事なのですが、その裏側で誰かに「リィンを目覚めさせる為に動いてほしい」と思い、すぐに「それならクロウしかいない」と思いこのような形になりました。裏方が似合う男、クロウ・アームブラスト。

 七章でクロウが僅かにおセンチだったのは、彼がこの夢の世界の住人だからではなく、現実世界からそのままやってきた存在故で、少しずつ夢の世界に飲み込まれかけているのに気付いたから……という事を、もっとちゃんと本に入れようと思っていたのにすっかり失念しており、かなりぼやけた表現にしてしまったので、断章のこちらで補完する事となりましたすみません。
 クロウは弱みを見せないイメージはありましたが、リィンの作った世界なのでどうしたって抗いきれない。散ってしまったミリアムは生きてて無邪気に振る舞っているし、自分だって死んだ事にはなってないし、悲痛な慟哭を響かせて世界を終末に導くトリガーを引いたリィンも、ここでは平穏な教官生活を送って、その中で笑っている。
 現実が正しい、とするなら間違った世界だけれども、間違っているとも言い切れない。そんな葛藤。そういう彼も一度書いてみたかったので、満足しています。

 オーレリア。女性陣の中ではアルティナと並んでツートップなので、彼女の出番も最初のプロットと比較するとかなり増えました。Wでは騎神(テスタ=ロッサ)相手にアーケディアを振るいそうなスクショがありましたが、正直セドリックの方が心配です。そんな方に戦い挑んで大丈夫か皇太子。
 台詞回しといい書くのが難しい御方ではありますが、自分の中のオーレリア像を全力で押し出しました。

 そしてミュゼは、本編の方で目立った出番があまり作れなかったので、こちらで。彼女もきっと気付きそうだな、と。
 W序盤の動画のあの台詞が本当に好きです。まだ(現実で言う)高校生くらいだというのに、背負うものがあまりにも大きすぎる……。彼女に対して、新Zがどう動くかに期待です。クロウはどこまでミュゼの事を知っているか分からなかったのですが、そのへんは捏造で。


 気付けばW発売まで一ヶ月切ってました。時間の流れの早さが恐ろしい。
 ここでクリア後の自分へ一言、伝言を残しておこうと思います。

 ……(色々な意味で)生きてますか?


2018/09/02 時崎 てんや(Tenya)


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