04
くらくらする。真っ白だ。
見渡す限り、いろんなウェディングドレス。フリル、レース、その他もろもろあふれんばかりの可憐さ華やかさきらびやかさ。向こうのほうにはカラードレスも見える。
急に、自分がこんなところにいてもいいのか不安になってくる。そのわたしのとなりから、にゅっと手が伸びてきた。
「俺、こういうのがいい」
「……」
さわるのも躊躇する。そんな真っ白いドレスの裾を、あゆむがひょいとつまむ。あわあわしているわたしをよそに、あゆむが物色を始めた。
ドレスの隙間を縫って歩くあゆむのあとを慌てて追うと、振り返って怪訝そうな顔をした。
「何?」
「え?」
「別に、俺に構わず好きなの選べば?」
「あっ……」
ついいつもの癖であゆむのあとを追ってしまう自分に苦笑いして、スタッフさんのところに向かう。
にこっと笑ったスタッフさんが、これはどうですかとかいろいろ提案してくれるけど、なんだかどれもしっくりこない。しっくりくるはずがないのだ、こんなの着るわけないって思ってたから。
うれしいんだけど、幸せなんだけど、でもなんか、苦しくて。
あゆむがこういうのを考えてくれたことも、今自分がこうしてドレスを選べていることも、全部があいまって胸がいっぱいだ。
「あの、わたし、どういうのが似合うんでしょう……」
「お客様はバストが豊かですし、デコルテを出すのが一番きれいだと思いますよ」
そっか。胸のサイズによっても、似合う型は違うんだ。
「なので、ビスチェ型などいかがでしょう」
「……分からないので、その辺はお任せします……」
「でも、最終的に一番お気に召したものを着ていただきたいので、決めるのはお客様ですよ」
そうなんだよね……。人に決めてもらったら、意味ないよね……。
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