01



 ちょっと無神経なんじゃないかって思う。どっちが、って、どっちもがだ。
 放課後、あゆむに誘われておうちに遊びに行く。いつもみたいにわたしを引っ張っていくあゆむは、なんだか知らないけどご機嫌だ。何かいいことあったのかな。

「ねえあゆむ……」
「あれっ、あゆむ?」
「えっ」
「……あ?」

 わたしが口を開きかけると、そこで甲高い声があゆむの名前を呼んだ。振り向くと、なんだかかわいい女の子がにこにこと笑いながら駆け寄ってきた。

「久しぶり!」
「うん」
「家近いのに会わないよね〜」

 あゆむが、わたしとつないでいないほうの手で、首筋を掻く。めんどくさいなあ、って言ってるようなそのしぐさに首をかしげると、女の子がわたしのほうを見て聞いた。

「彼女?」
「うん」
「へえ、かわいい」

 明らかにあなたのほうがかわいい。と思ったのが口に出るのを寸前で飲み込む。嫌味のつもりではなさそうだし。
 家が近いということは、同じ中学の子かな。と思った次の瞬間、わたしは目を見開いた。
 女の子の手が、あゆむの肩に触れたのだ。

「こないだ集まろうよって言ってたの、メール見た?」
「見たよ、信也のだろ、めんどいから断った」
「あれっ、信也くん、あゆむから返事こなかったとか言ってたけど」
「俺ちゃんと返事したよ」
「あははっ、そーなの?」

 思わずうつむいた。わたしのことなんかお構いなしに、女の子はあゆむの肩や腕にぺたぺたとさわりながらおしゃべりしている。
 わたしがいるのに無神経だって、ちょっと思った。でも、あゆむも。なんで振り払わないの。
 そのまま、ちょっとお話をして、また遊ぼうね、と言って女の子は去っていった。
 相変わらずあゆむの機嫌はよさそうで、でもわたしにはもう、それがあの子と会ったからに見えて、理由は聞く気になれなかった。
 もやもやする。また遊ぼうね、だって。彼女の前で、そんなこと言う神経がよく分かんない。

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