02.帝王学の教科書

「杜王書店は働く男の味方であるッ!」

が我が店の店長、シュトロハイムさんのもう一つのモットー。
なので杜王書店は夜10時まで営業している。
あ、勿論働く女性の味方でもありますよ!


あと10分で閉店、そんな時間に見知った顔が。
綺麗な金髪に、その長身に似合った高そうな黒スーツ。
こんな人杜王町には1人しかいない。

「こんばんは、DIOさん。お仕事帰りですか?」
「おぉ、なまえか。珍しく早く終わったのだ。お前も遅くまでご苦労だな」
「いえ、DIOさんの方こそいつも遅くまで大変ですね」

DIOさんのお仕事については何も知らないけど、
こないだジョルノ君が、パードレが休みの日はなかなか起きてこなくて掃除が出来ない。
と嘆いてたから、きっと夜遅くまでお仕事してるんだろうなぁ。
今日だって珍しくって言ってるし。
そんな事をぼんやり思っていると、DIOさんが店内をきょろきょろ見回しながら、

「時に、なまえ。この本屋には帝王学の本を置いているか?」
「帝王学ですか…確か社会書のところに何冊かはあった気がします。ご案内しますね」
「うむ、頼む」

DIOさんを連れてそう広くない店内を進む。
あ、あと5分だ。

「この棚なんですけど…。うーん、やっぱり帝王学は少ないですね」
「うりぃ…」
「というか、帝王学なんて買って誰が読むんです?」

DIOさんはもうすでに上りつめた人っぽいし。

「ジョルノに帝王学を学ばせたくてな。
あいつには将来、私の後を継いでもらいたいからな」
「あー…そうですか」
「ん?なんだその顔は。なにか言いたい事があるのか?」
「イエナンデモ」

意外に親バカなんですね、なんて口が裂けても言えない。
DIOさんは案外心配性なんだ。

「んーじゃあこの本なんてどうです?入門書としては最適かと思います」
「ぬ…思っていたのとすこし違うが、まぁ良しとするか」

DIOさんは少し不満そうだったけど、中を見て納得されたみたい。
まぁ、初めは軽いくらいがちょうどいいだろう。

「ありがとうございまーす」

DIOさんが手に持っていた本を奪い取ってそのままレジに向かう。
閉店まであと2分。ミッションコンプリート!




(なまえ、この後は暇か?)
(まぁ後は片付けて帰るだけですけど…)
(我が家で一緒に夕飯でもどうだ?)
(いいんですか!DIOさん家のご飯美味しくて大好きです!)
(そ、そうか!遠慮せずに食べるといいぞ!)








(2011.8.14)
DIOさんは絶対親ばか。本選んであげたのは、
閉店までに業務終了させたかっただけだったりして。




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