11.あるいてまわってパリ
お店に、電信柱…失礼、独特な髪型のお客さんが来た。
(仗助君も珍しい髪型してるけど、言うと怒るから言わない、絶対に)
海外観光客だろうか、大きなスーツケースを店先に置いたまま店内に入ってきた。
外に…置いたまま…?
いくら日本が平和だからってそれじゃ盗んでくださいって言ってるようなもんだ。
日本語通じるか不安だが、店内をキョロキョロしてる観光客さんに声をかける。
「お客様、失礼ですが外にお荷物置いたままは危険ですよ」
「ん?もしかして俺?」
そう言って観光客さんが振り返る。
よかった、日本語通じた。ではなく!
「荷物の事なら大丈夫。頼もしいやつがついてるからな」
ほらそこに、と指差した先。スーツケースの横に犬がいた。
影になってて見えたかったけど…。
「…随分、可愛らしい番犬ですね」
「おいおいお嬢ちゃん、イギーをただの犬と思ってると痛い目合うぜ〜?」
よくわかんないけど、特別に訓練されてるんだな、きっと。
そしてあの犬、イギー…撫で回したい。
邪な気持ちがイギーに伝わったのか、外にいるイギーと目が合う。
イギーとの睨み合いを続けていると、横から話しかけられた。
「Mademoiselle(お嬢さん)?失礼ですがお名前は?」
「え?みょうじなまえです」
「俺はジャン=ピエール・ポルナレフ。いきなりで悪いがなまえ、尋ねてもいいか?」
「はい、なんでしょう?」
「なまえ、彼氏いる?」
「ぶっ!!」
な、なにを急にこの人は…!
「ああの、ポルナレフさん、わ、わたし…」
「今感じちゃったんだよね…運命ってやつ?」
「う、運命って、何を」
「だからさ、俺と付き合わなn「なに油売ってんだ」…よう、承太郎」
音もなくお店に入ってきたのは承太郎さんでした。
「こんにちは、承太郎さん」
「おう、なまえ。ポルナレフが迷惑かけたみてぇだな」
「迷惑だなんて、ちょっとびっくりしましたけど」
「そうだぜ承太郎。俺の国じゃ挨拶みたいなもんだぜ?」
「てめぇは黙ってろ」
承太郎さんに一蹴されてしゅんとなるポルナレフさん。
「ったく、駅から動くんじゃねぇっていっただろが」
「いいだろー?ちょっとぐらい観光したってよー」
「だからってなまえに変な事吹き込んでんじゃねぇよ」
「可愛い子には声をかけずにはいられないのがフランス人なのよ」
なんか二人で話してるけど、何を言ってるのかわからない。
どうやらポルナレフさんと承太郎さんは友達みたい。
「なまえ、邪魔したな」
「もう行っちゃうんですか?」
「…しばらくこいつは俺の家に居候するみてぇだから、イギーに触りたかったら俺の家に来い」
どうやら承太郎さんは気付いていたらしい。
「いいんですか?」
「いつも来てんだろ。今更気を使う必要ねぇよ」
「俺もいるからいつでも会いに来てくれよ!」
そう言ってポルナレフさんは承太郎さんに引きずられる様に出て行った。
お父さん、お母さん。
杜王町がもう一段と騒がしくなりそうです。
(2011.8.27)
ポルポル君好きです。えぇ、大好きです。