07.変態さんに、ご注意を!

「どうしたなまえ、元気がないな」
「あ、DIOさん」

俯いていた顔を上げると、そこにいたのはDIOさんだった。

「DIOさん、今日はお休みなんですか?こんな時間にお店に来るの珍しいですね」
「あぁ、まぁな。ところで随分浮かない顔をしているな、何かあったのか?」
「えっ…いえ別にたいした事じゃないんです」
「全く説得力がないぞ。近所の誼だ、話ぐらいは聞いてやる」

そう言ってカウンターに肘をつくDIOさん。聞く体勢はバッチリらしい。
DIOさんに話せば少しはスッキリするかな、と思い私は事の顛末を話し始める。

「実は、ここ最近少し困ったお問い合わせが多くて…」
「困った問い合わせ?クレーマーか?」
「いえ、そういうのではないんですけど…」
「ならなんだ、このDIOにはっきり言ってみろ」

やっぱり話すのをやめようかと悩んでいるとDIOさんが無言の圧力をかけてきた。
もう、どうにでもなれ!

「官能小説とかを電話で問い合わせてくるんです。
探しの書籍がなんであろうと対応するのが書店員ですけど、
そのタイトルを読み上げて、ってお客様が言うんです。
その、中には結構過激なタイトルのもあって…。
しかもそういう時に限ってシュトロハイムさんはいないし…」

うっ、やっぱりだんだん恥ずかしくなってきた…。
心の中で相談した事を後悔していると、DIOさんの口から地の底から発せられたような、
とてつもなく低い声がした。

「ほぅ…官能小説とな?しかも電話で…?」

な、なんか、とてつもなく怒ってらっしゃるぅぅ!
しかもこんな時に電話が鳴り始めるぅぅ!

カウンターでどす黒いオーラを垂れ流し始めたDIOさんに謝りをいれて受話器を手に取る。

「はい、お電話ありがとうございます。杜王書店でござい…ます…」

もう声を聞いただけでわかる様になってしまった自分が悲しい。いつもの変態さんだ。
私の声のトーンでわかったのだろう。DIOさんが受話器を指差し口パクで

「そ い つ か」

と聞いてきたので首を縦に振る。

気付くと、今まで私が持っていた受話器がいつのまにやらDIOさんの手に納まっていた。
な、何が起こったのだ…?
しかもどす黒オーラ全開でDIOさんが相手に話し始めていた。

「貴様…私のなまえに変態行為を働くとは、覚悟はもちろん出来ているのだろうなぁ…」

わー、こんなに怒ってるDIOさん初めて見る。
今にも、ゴゴゴゴゴ、と聞こえてきそう。

「いいか、二度とこんなくだらない電話はするな。もししてきたら…
まぁ、お前にそんな度胸があればだが、このDIOが全力で消し去ってやろう」

DIOさんは言いたい事は言ったのかそのまま通話ボタンを思い切り押す。
じゅ、受話器が壊れます…。

「ふっ…私も随分と丸くなったものだ」
「あの、DIOさんありがとうございます」

私はペコリとお辞儀する。

「万が一またあの変態野郎から電話があるようだったら私に言え」

そう言ってDIOさんは私の頭を軽く撫でた。
DIOさんの手はとても優しかった。




(私を差し置いてなまえにあんな事やこんな事を言わせるなど…)
(あ、あの、DIOさん…?)
(やはり消しておくか…)
(何怖い事言ってるんですか!)
(とりあえずなまえ、そのDIO"さん"というのを止めろ!)








(2011.8.18)
DIOは変態予備軍。
電話してるのはメローネとかその辺。
これを期にさん付けやめられるといいね!




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