「阿呆かてめーら。んな茶番が奴らに通用するかよ。後々のセリフまで持ち出しやがって。何なのその自信、どこからきてんの?」

「全くでさァ。完成度の低いコント披露してんじゃねーや。詐欺でパクられたくなかったら真剣持ってこい真剣」

「節穴は黙ってろヨ。弥生のキャッチ力の半端なさは私が知ってればそれでいいネ」

「へェ、なら見せてもらおうじゃねーか。次はマジもんだぜ、止めてみな」

『ばちこーい』

「どこまで自信過剰なの!?弥生ちゃんもうやめなって!沖田さん絶対頭割るか腕持ってくかのどっちかやってくるって!」


本気で沖田の太刀を、それも鋭く光る刃を受け止められると思っている弥生に新八が必死で制止を叫ぶが弥生は沖田から目を外そうとしない。「何とかして下さい!」という新八の無言の訴えに銀時は小さく溜息をつき、


「弥生、いい加減にしねーと今日から時代劇見んの禁止にすんぞ」

『………、むねん』


効果覿面。素直に身を引いた弥生に胸を撫で下ろす新八だが、彼女の行動に沖田は唇を尖らせる。


「なんでェ、俺に刀抜かせといてやんねーのかよ。やっぱ口だけか」

「やめないか総悟!てゆうかそんなモンでやったら弥生ちゃんが大怪我じゃ済まなくなるでしょーが!仕舞え!」

「心配いりやせんって近藤さん、怪我なんてしない安全なチャンバラごっこである事を証明しますから。ね、土方さん」

「ふざけんな!お前絶対俺の頭割るか腕持ってくかのどっちかやってくんだろ!それをどう安全に対処しろってんだ!」

「俺ァ信じてますぜ。アンタはやりゃ何だって出来るオールマイティな男だって」

「地の果てまで叩き落とされるつもりは毛頭ねェ!つーか黙って聞いてりゃいつんなったらそいつの皿にツッコミ入れんだよ」

「あ、スイマセン」

「ったく…オイ皿付け直せ。避難訓練でまずどこを第一に守れって言われると…」


弥生の皿を剥がすべく伸ばした土方の手が、バチンと小気味よい音を奏でて彼女の手に挟まれる。


「い、ってェだろうが!もう白刃取りはいいっつってんだろ!もう充分遊んだだろ!」

『上からくるものだから攻撃とおもってつい…』

「猫かてめーは!!」

「銀ちゃーん!!私スゴイ事考えたアル!足の裏、コレ歩いてたら見えなくね?スゴクネ?コレ?弥生も頭よりこっちのが断然いいヨ!これなら絶対気付かれないアル!」


己の妙案の素晴らしさにはしゃぐ神楽は上げていた足を勢いよく下ろす。するとおかしなことに土を踏みしめるには聞き馴染まない乾いた音がしてきた。
神楽はついさっき下ろしたばかりの足を静かに持ち上げ、粉々に散らばる破片から自分の足の裏へ視線を巡らせるとうずくまる。


「痛ぅ〜なんか踏んだアル切れたアル足」

「ごまかしてんじゃねェェ!!お前何してんだァ!!勝負始まる前から皿粉砕って!!」

「どうすんだコレ!?どうなるんだコレ!!」


不測の事態に動転するも、今はまだ勝負前という結論を導き出し新しい皿を貰ってくることに。ところが、敵の動向が窺えない状況で単独行動は危険だと土方に制される。近藤は新八の守備、他は二手に分かれて敵の大将に接触していくという土方の作戦を聞いて弥生は新八の傍へ寄り添う。


『新八といく…』

「まァ、大将の守り固めとくに越したこたァねーしな」

「弥生隊員!メガネの保護は任せたぞ!」

『キズ、汚れ、熱、すべてどんとこいであります』

「弥生ちゃん、それ本当にメガネの保護」


だが、弥生の配置に異を唱える者が二名。


「旦那ァ冗談よして下せェよ。こんな紙っぺら、革の盾より使えませんぜ。俺らん中でコイツが一番早く皿割れますぜ」

「同感だ。近藤さんのお守りが増えるだけだろ」

「あんだとコラ!弥生は装備なんて小細工しねーんだヨ!ありのままで勝負するんだヨ!」

「やっぱただの雑魚じゃねーかィ」

「つーかさっきから何なんだよ弥生のする事成す事にいちいち文句つけてきやがって。欝陶しいのはその存在だけにしとけよ」

「俺だっていつもなら何も言わねーが今は状況が違うんだよ。大体てめーがそうやって放任するからコイツがどんどん常識から掛け離れていくんだろーが。それを正してやって何が悪い」

「何でも口出ししてやりゃ正しく育つと思ってんのかてめーは。そうして育てられた奴は他より自立すんのが遅れんだよ。ある程度野放しにしてやった方が弥生の為になんだよ」

「てめーの場合ある程度の許容範囲がデカすぎんだろ。結果あの有様だろーが」

「うっせーんだよてめーは!あんま口うるさく言って嫌われたらどーしてくれんだ!その証拠に弥生お前のこと嫌いだからね!この前お前の悪口延々言ってたからね!」

「嘘言ってんじゃねェェ!!コイツが人の悪口を延々と喋ってらんねーことぐらい俺だって知ってんだよ!」

「弥生の生理周期も知らねー奴が分かった風な口利くんじゃねェェ!!」

「それで弥生ちゃんの全てを知った気でいるアンタも間違ってると思いますけど!?」

「トシ、総悟、弥生ちゃんだってお妙さんを取り戻したい気持ちがあってここにいるんだぞ!その気持ちを汲んでやらんでどうすんだ!いいよ弥生ちゃん、一緒に新八君守ってこうな」


こうして弥生は新八と近藤の二人と供になり、銀時と神楽、土方と沖田の二手で行動を起こす――筈が、銀時と沖田のドSコンビは土方の作戦を無視して個々に行ってしまい、土方と神楽で皿を貰いに行くこととなった。


「つか弥生ちゃん、断固としてそれでいくんだね」


頭の上にある皿を見つめながら力無く呟く新八へ弥生は力強く親指を立てた。








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