『ねむくなってきちゃった…』
「お前はいつでも眠いんだろーがァァァ!!」
『もう帰ろ…』
「状況見て言えェェ!!このままじゃ僕も弥生ちゃんも食べられちゃうんだぞ!!」
『…………………』
足元で何か硬い音がしたかと思うと、赤い液体を纏った白い物体が新八の視界に現れては消える。疑問符を浮かべて視線を落とすと、刀で宇宙生物の歯を叩き抜く弥生が。どうやら歯が無ければ食べられることはないと考えたようだが、未だ喰われる最中という状態に変化はない。
「ぐっ…!ダメだ、もう…」
「新八ィィィ!!気張れェェェ!!」
己の筋肉に限界を感じた時、銀時がそう叫んだ。彼を信じ、痙攣を起こす手足を叱咤して押し返すと、滑るように銀時が口の中へ入っていく。すると生温かいものが全身にふりかかり、圧迫から解放された身体は宇宙生物の液体まみれになっていた。
『…うえー…』
「銀さァァん!無事ですかァァ!?」
「ガペペっ!くさっ!くっせーんだけどこん中!!」
亡き骸となった宇宙生物から降りた三人はすっかり汚れた身体にうんざりしながら長谷川のもとへ歩を進める。
『おふろ…』
「俺が先な」
『やだ』
「じゃあ間をとって一緒に入るか」
「どこの間をとってセクハラ発言してんだアンタは。つーか弥生ちゃん、刀置いてけって僕言わなかった?」
「しょーがねーよ新八、そいつは金魚のクソみてーなもんだからな」
「はあ?」
「うるせーって言ってんだよ!!このムツゴロー星人!!」
銀時の言ってる意味が分からないでいると、長谷川の怒号が聞こえてきた。 長谷川に殴り飛ばされた皇子は地面に転がり、それを見た銀時がわざとらしく声をあげる。
「あ〜あ!!いいのかな〜んな事して〜」
「しるかバカタレ。ここは侍の国だ。好き勝手させるかってんだ」
「でももう天人とり締まれなくなりますね。間違いなくリストラっスよ」
「え?」
『どんまい』
「バカだな。一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすんだよ」
そして長谷川は後日、幕府から切腹を命じられたのは言うまでもないだろう。
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