すると、船内で爆発が起こった。 何事かと騒然とする中、よく通った低い声が響く。
「俺の用は終わったぞ。あとはお前の番だ銀時、好きに暴れるがいい。邪魔する奴は俺がのぞこう」
「てめェは…桂!!」
「違〜〜〜う!! 俺はキャプテンカツーラだァァァ!!」
手にしていた爆弾を放つ桂。 その様子を眺めていた弥生はおもむろに立ち上がる。
「?弥生ちゃん?」
「どうしたアルか?」
『…助太刀』
見上げる二人にそう告げると弥生は立ち込める煙りの中へと飛び込んだ。
行く手を遮る敵を片っ端から倒していけば、立つ敵は数人。最後に桂の背後を狙う天人へ一太刀浴びせると、弥生は刀を腰へ戻した。
「!お前は…」
弥生の存在に気付いた桂は驚きに染まる。そんな桂を暫く見つめると、弥生は人差し指と中指を額に当てる。
『…や、ヅラ』
「―――っ、ヅラじゃない、桂だァァァ!!」
「はァい、そこまで」
両手を広げ、弥生のもとへ駆け寄ってきた桂の顔面に彼女の背後から伸びた銀時の足がめり込む。 足を退かせば、くっきりと跡がつき鼻血を垂らす桂の顔面が表れた。
「何をする銀時。再会の抱擁ぐらいさせてくれてもよかろう」
「俺の時はアッパーカットだったじゃねェか」
「男と抱き合っても嬉しいワケがないだろう」
隙を見て、桂は弥生の手を引くとしっかりとその腕に抱き寄せた。そんな二人を見て、青筋を浮かべる銀時を新八と神楽は見逃さない。
「弥生…お前、生きてたんだな」
『…』
「すっかり見違えたぞ。成長とはアレだな、こうも変化があるとは…いや、面影もしっかりと残ってはいるが、」
『………』
「…………弥生?」
何も返さない弥生を不思議に思い、身体を離して顔を覗くと小さく寝息を立てる弥生が。
「フッ…相変わらずだな」
微笑むと桂は弥生を横抱きにし、歩き出すが銀時が黙って見届ける訳もなく、桂の肩を掴んで阻止する。
「おーい。どォこ行く気だテメー」
「決まっている。弥生をちゃんとした場所で寝かせんとな」
「なら安心しろ。俺が連れ帰ってちゃんと寝かしつけてやらァ。つーワケでさっさと弥生離せコノヤロー」
「手負いのお前に弥生は持てまい」
「ナメんな。どんなに傷を負おうが持ってやるよ。そいつも俺の大事な荷物だ」
桂から弥生を奪い返すと銀時は手枷を取ろうと苦戦している二人へ向かう。 その後ろ姿を桂は笑みをたたえながら見つめていた。
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