「オイオイ、どうしたのコレ」
「土方さんがやりました」
「トシ。女の子を傷付けるのは男としてどーかと思うぞ!」
「俺じゃねーって!!」
近藤はポケットから絆創膏を取り出すと弥生の頬へ貼付ける。そしてニカッと笑顔をみせ、頭に手を乗せた。
「すまなかったな。怪我させちゃって」
『…帰ってい?』
「てめェまだ言うか。ホームシックかコラ」
「いいぞ。引き留めて悪かったな!」
「おいィィィ!!アンタ目ェ悪いんか!!?刀!!コイツ刀持ってんだぞ!何帰る許可出してんだよ!!」
「キミって確か許可証持ってたよね?」
近藤に促され、弥生は懐からソレを取り出すと近藤へ渡した。確かに正真正銘の許可証だ。
「持ってんなら始めから出せや!!」
『忘れてた…』
「そんなんでよく役人から逃れられましたねィ」
『…役人…』
首を傾げる弥生。 幾度となく前科があるが、彼女の脳内から綺麗さっぱり忘れ去られた出来事である。 近藤から許可証を返してもらうと今度こそ少女は家へと足を動かす。 覚束ない足取りで帰っていく弥生を暫く三人は眺めていた。
「なんか…大丈夫か、あの娘」
「掴み所のねェ奴ですねィ…何なんでさァあのパッツン」
「さァな…」
以前、自分の太刀を受け止めた弥生が脳裏をよぎる。 あの見た目からして想像出来ない反応だった。 だが、今回はそんな動きを見せなかった。頬に負った傷がその証拠だ。 よく分からない。 弥生の印象はその一言がピッタリだった。
「ところで、お前ら見廻りは?」
「「………」」
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