短文描写 3


65文字/40題


神秘/噂/彼と彼女/悲しみ/生/死/芝居/体/感謝/イベント…


21.神秘

君に電話しようと携帯を手にしたら、いきなりの着信音に慌てて携帯を耳にあてた。
聞こえてくるのは君の声。
僕達は目に見えない物で繋がっている。


22.噂

君の好きな俳優がテレビで結婚会見を開いている。
噂は本当だったんだと悔しがる横顔を盗み見てそっと胸を撫で下ろす。

また1人、ライバルが減ったな。


23.彼と彼女

学祭の舞台でスポットライトを浴びる僕は、今まさに死なんとしていた。
君の演じたロミオに本気で恋をしたジュリエット。

それは現実も同じだ。


24.悲しみ

夢にうなされて目覚める朝。
乾いた涙が目蓋にこびりついてバリバリと音をたてる。

時間は悲しみを癒さない。
傍らに眠る君のぬくもりにすがり付いた。


25.生

真新しいスニーカーの靴紐を結んで、ゆっくりと立ち上がる。東の空は白く煙り溶け出す光はアスファルトを明るく照らして。
君は走り出す、今日も。


26.死

ベッドを酷く軋ませ、腕の中で背を反らせながら君は何度も死んで逝く。
震える体を抱きしめて、息を吐く。
これは業だろ?
愛なんかじゃない。


27.芝居

「お嬢様、お手をどうぞ」

舞台袖からスカートの裾を踏まないように歩く君の手を取る。
汗ばんだ掌。
ぎこちない指先をギュッと握りしめた。


28.体

凹凸のないつるりとした皮膚に静脈が透けて見える。
細かな枝葉に沿って指を滑らすと切なく白い体が蠢いた。
君の血も赤いなんて信じられないよ。


29.感謝

丸くて大きなケーキに揺らめくロウソクの焔。
赤い苺と同じくらい頬を染めた君の笑顔に口元が緩む。
ありがとう。
この世に生まれてきてくれて。


30.イベント

カレンダーの日付に赤い丸をつける。
それを後からこっそり確認している後ろ姿ほど可愛いものはないよ。
気づかれないようにそっと腕を伸ばした。




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