零時
デジタル時計が零時を報せる。
カシャリ…と機械が動く音がして、0が並ぶ。
そうやって世界は何回も生まれ変わり、代わり映えのしないボクは何回もため息をつく。
日付変更線を越える想いはいつだって翼を強ばらせて、キンと冷えた冬の空気を言い訳にしてばかりだ。
ぬくぬくと布団にくるまってキミを想って泣いてみる。なんて嘘くさい。
カシャリ。
また世界が生まれ変わる。
数時間後には真新しい朝日が街を照らし始める。
ドボルザークの【朝】がどこからか聴こえてくるような、そんな真新しい朝。
切れかけた靴ひもを取り替えて、キリリときつめに縛って。腕時計はデジタル。ストップウォッチに切り換えて。
さあ、走り出そうか。
カシャリ。
0が並ぶ。
ボクの世界が今、
生まれ変わる。
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