零時


 デジタル時計が零時を報せる。
 カシャリ…と機械が動く音がして、0が並ぶ。

 そうやって世界は何回も生まれ変わり、代わり映えのしないボクは何回もため息をつく。

 日付変更線を越える想いはいつだって翼を強ばらせて、キンと冷えた冬の空気を言い訳にしてばかりだ。
 ぬくぬくと布団にくるまってキミを想って泣いてみる。なんて嘘くさい。

 カシャリ。
 また世界が生まれ変わる。

 数時間後には真新しい朝日が街を照らし始める。
 ドボルザークの【朝】がどこからか聴こえてくるような、そんな真新しい朝。

 切れかけた靴ひもを取り替えて、キリリときつめに縛って。腕時計はデジタル。ストップウォッチに切り換えて。
 さあ、走り出そうか。

 カシャリ。
 0が並ぶ。
 ボクの世界が今、
 生まれ変わる。


[*前] | [次#]
[top]



×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -