じゃのめ
誰かが迎えに来てくれたら嬉しいけれど、生憎そんな人間は自分の周りに居やしない。
どんよりと曇る空から降り注ぐ雨に足元を濡らしながらため息。
そんな君は気づいていない。
困ったように眉根を寄せて空を見上げている横顔を、さっきから頻りに気にしている視線があることに。
足を止めて戸惑っている後ろ姿に、どうやって声を掛けようかと考えている人影に。
君はいつだって気づいていない。
君に視線を投げている輩らを、遠くから警戒するしかできないボクの気持ちに。
鵜の目
鷹の目
君に必要なのは蛇の目
さて、いつになったらこの三つ巴戦に、君は気づいてくれるんだろう。
気づいても貰えない恋なんて、ただツラいだけなのにね。
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