風花


 もう世間は春を迎えるというのに、僕自身にはなかなか暖かな日々は訪れないようです。

 一緒に居ても、別れても、世間からの冷たい視線は変わらないということを、痛いほど知りました。

 貴方の遺伝子は確実に次世代へ残りましたね。
 それだけは本当に良かったと思っています。
 強がりではなく本当にね。

 愛よりも情のほうが、きっと家族を形成していくには必要なものだよ。
 愛じゃ、ご飯は食べられない。

 世間からの強い風に、どこからか風花が舞い降りてきます。

 それは美しい夢でした。
 いつかは枯れて消える花でした。

 愛していました。
 過去形ですよ。

 ええ、間違いなく過去形ですよ。



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