如雨露


 空っぽになった如雨露に、精一杯の水を満たして両手で運ぶ夏。

 朝早くから乾いた土に水を振り撒いて、吸い込まれていく様をじっと見つめる。

 渇いて渇いて仕方がないんだ。

 どんなに愛を振り撒かれても。

 枯渇した心の泉をもう一度穿つには、もっともっと呼び水が必要なんだ。

 この夏が過ぎれば、渇きは癒されるの?

 秋の長雨に、きっと今度は流されてしまうでしょうにね。


[*前] | [次#]
[top]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -