無人駅


 誰もいない駅の夜の静寂の切っ先で、ひとり虚しくステップを踏む。

 不安定な七拍子。
 始めに四拍子でブルースを。
 後は三拍子でワルツ。

 闇に向かって欠けていく三日月が、目を細めて見下ろしている。

 割り切れない七拍子。
 不安定に揺れる足元。
 あと一拍、足せば八拍子になって楽に動くことが出来るのにね。

 足りない一拍に隠された想いを抱いて、ひとり踊る階段の踊り場。

 あの人が足を踏み外しませんように。
 祈るようにひとりで、オブリガード。

 諦めに行く、この想い。
 さようならのステップ。


[*前] | [次#]
[top]



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -