針と糸


 針に糸を通して、一体何を縫い合わせるというの?

 その糸は見えないもので出来ているというのに。

 何度も何度も、縫っては返し、縫っては返し、プツプツと穴が開くばかりで、ちっとも縫い合わさる様子がありませんよ。

 裏を表にして縫い合わせてみても、終わりはくるりとひっくり返して、思いもよらぬ姿が現れて。

 そもそも糸など通っていたのですか?
 僕たちの間に。

 振り返れば、全ては穴だらけの日々。

 もう、無理やり縫い合わせるのは止めにしませんか?

 針が錆びてしまう前に。

 糸など初めからなかったのだと、いい加減、認めてしまいましょうよ。


[*前] | [次#]
[top]



×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -