針と糸
針に糸を通して、一体何を縫い合わせるというの?
その糸は見えないもので出来ているというのに。
何度も何度も、縫っては返し、縫っては返し、プツプツと穴が開くばかりで、ちっとも縫い合わさる様子がありませんよ。
裏を表にして縫い合わせてみても、終わりはくるりとひっくり返して、思いもよらぬ姿が現れて。
そもそも糸など通っていたのですか?
僕たちの間に。
振り返れば、全ては穴だらけの日々。
もう、無理やり縫い合わせるのは止めにしませんか?
針が錆びてしまう前に。
糸など初めからなかったのだと、いい加減、認めてしまいましょうよ。
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