皮下


 毎夜、毎夜、皮膚の下に虫が這いずり回るので困っています。

 ピックを持ち出し虫を突き刺しても、どうにも上手くいきません。

 今夜は特に動きが激しくて、僕の右手は紅い液体でぬるぬるになってしまいました。

 皮膚の下にいる虫は、何故こんなにも僕を苦しめるのでしょうか。

 あなたが傍にいた頃は、あなたが唇で退治してくれていたのに。
 あなたが傍にいないせいで、僕の皮膚を喰い破る虫が増えて増えてどうにもならないのです。


 あなたは今頃、ライスシャワーと花びらの小道を歩いているのでしょう?
 だから今宵の月に願掛けするよ。


 あなたが愛するあの人の腹から、巨大な虫が生まれますように。
 僕の愛を餌にして、膨れた腹を喰い破りますように。



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