葡萄唐草


 花言葉はふたつある。
 ひとつは「慈悲」

 貴方には似合わない言葉だね。


 この部屋の壁紙は薄いグリーンに金色の葡萄唐草。
 天蓋つきのロマンティックなベッドに手足を縛りつけて、ボクをキリストにでもするつもり?
 誰かのために殉死なんて、似合わないからやめてくれ。
 どうせ打ち付けるなら、本当に釘でも何でもつかってくれよ。


 ヂクヂクと手のひらから流れ出す血はワインにならないけれど、ふたりの生きざまを啜るにはちょうどいい飲み物さ。


 捻り潰せよ、葡萄の実。
 足蹴にしろよ、快楽の源。

 そうして、ぐちゃぐちゃに溶け合ったら、きっと貴方を愛せるかもしれないから。


 花言葉はふたつある。

 ひとつは「慈悲」
 もうひとつは「歓楽」


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