ひっくり返して、黒
部屋の灯りは点けずにおいて、タンスの影で待ち伏せをする。
あれ、まだ帰ってないのか〜なんて間抜けな言葉を吐くお前を、ガバッと後ろから羽交い締めだ。
「うおっ!」
奇襲攻撃成功だ。
俺よりも腕っぷしの強いお前を押し倒すには、暗闇で奇襲くらいしかないだろう?
この間は俺が寝込みを襲われたんだ。こんくらいのリベンジじゃなきゃ、俺だって男が立たないっての。いろんな意味でな。
「てめぇっ!卑怯だぞ」
「へ〜んだ、油断する奴がいけないんじゃなかったっけな?」
くっと息を呑むのがわかる。そうだよ、これはお前がこの間吐いた台詞だからな。
暗闇だから顔は見えないけれど、さぞや悔しさに歪んだ表情を浮かべてるんだろうよ。
そんな顔を拝んでやりたいけどな。俺は優しいからさ。別の意味で歪むお前の顔も見ないでいてやるよ。
「暴れたら、灯り点けるからな」
「クソッたれ!」
「可愛くない口はどこにあんだ? ここか?」
夜目に慣れてきたところで、俺はおもむろに奴の唇を奪ってやった。
ぴったりと吸い付いて、苦しくて奴が口を開けたところに舌を滑り込ませて、舐め回してやるよ。
結構、好きなくせに。素直じゃないところが、またいいんだけどさ。
「お〜らもう、息あがってるじゃんよ。気持ちいいんだろ?」
「…フ、うぁ」
ちょっと、まさぐってやっただけでこれだよ。やっぱりネコだろ?
力が抜ければ、もう俺の勝ちだから。
ひとつに纏めて、押さえ込んでいた腕をそっと離してやる。
すると、奴の腕はするりと俺の首に巻き付きやがった。
「可愛いことすんなよ、興奮するじゃん」
「バ、…カヤロ。この下手くそがっ」
「はぁ〜、そんなに苛められたいの?」
では、遠慮なく。
奴のジーンズを下着ごと脱がして、足を嫌ってほど開かせて可愛がってやるからさ。
俺は優しいから、焦らしたりしないよ。気持ちいいとこを徹底的に責めてやるから。
「おら、足開け! ケツあげろ!」
「クソッ、てめぇ、…ン、うあ…つぎ、は…かく、ごしとけ…ひあ、ああああ」
ひっくり返して、黒と白。
これでも恋人同士です。
毎日が戦いです。
【続くかも(え?)】
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