紳士に相談


「苦ーリスマスは今年もやぁってくるぅー…」

「まだ春だですよ刹那さん…というか顔色が優れない様ですが…」

「…大丈夫だよヒロ君、現在進行形で君の優しさで癒されてるからさ」

そう言って傾れ込む様にぐだぁ・・・っと図書室の机に顔を伏せた 
というか地味に苦って言ったんだけど気付いてもらえなかった…まぁ仕方ないか


「駄目無理、ヒロ君のクラスが良かった」

「そう言ってくださるのは嬉しい事ですが…本当に、どうしたんですか?」


そういいつつもちゃんと話を聞こうとしてくれる彼、いやぁ紳士な彼を相手に選んで良かったよ…


「今日さぁ、転校生が来たんだけどね」

「あぁ、先程見かけましたよ。話してはいませんが」

「…なんかミーハーっぽくてさ、2人に構ってると割り込んで来るし偶に睨んで来るし散々」

「それは…お疲れ様です」


そう言って頭を撫でてくれる彼には本当に感謝の一言しかないが、今はこんな事しか言えない…


「多分、ヒロ君も接触されるよ」

「…はい?」

「皆と仲良くなってテニス部のマネやりたいっていうよあの子」


顔だけあげてぼそっと呟く、きっと今の私凄い無表情なんだろうなとか思う


「わかるんだ、ああいうタイプは…私がああいうタイプならそう思う」

「刹那さんがそう言うならそうなんでしょうね…刹那さんは誰より人を見てる」


私は周り曰く人物分析の天才らしい 

私からすれば自分が彼女ならとかあらゆる立場の考え方取りいれた上での仮定を上げているわけで
そんなこと言われても困るし絶対レンくんの方が分析上手だろう


「…補正付いてたらどうしよう」

「補正?」

「んーこっちの話…来るならもう少し早く来て欲しかったなぁ」

「何故?」

「もしマネージャーやるなら私がやる前に、皆と仲良くなる前になって欲しかった」


どことなく寂しげに言われたその言葉の裏の意味に柳生は直ぐに気付いた


「…刹那さん、私達はあなたを一人にはしませんよ」

「…でも、実際2人は取られちゃったもん」


刹那は、孤独が嫌いだ。
一人の方が楽だと思いながらも周りから人が離れていくことを恐れる 
刹那は自分のそんな矛盾した思考に気づいていて、柳生も、レギュラーの皆も気付いている


「大丈夫です、あの2人には考えがあるんだと思いますよ」

「考え?」

「ええ…兎に角、私の方から幸村部長達に部活までに相談しておきます」

「ありがと…助かる」



そう言って笑った刹那の笑顔はまだ少し寂しさを残しており、
たまらず柳生が抱きしめた所を迎えに来た2人に目撃され口論になったせいでまた授業に遅れるのだった



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