君との出会い


「・・・」


パコンパコンと軽やかなラリーの音が聞こえてきて思わず足が進んでしまった 
しかし今日は部活が休みの日、誰かが残っているのだろうか?と疑問に思う

(まあ立海だもんね、レギュラーとか全員残ってそうだなぁ)


なんて軽い気持ちでその場に向かった時に見たのは、一心不乱に壁に向かって一人ボールを打ち付ける丸井の姿だった


「っくそ!」


(うわー病んでるー、なんてバッドタイミングで来ちゃったんだ…)


軽く自分の軽率さに凹みながらもその場を離れる気にはなれずにただ傍によりその姿を見ていた


「…何を焦ってるの?」

「っ!?」

「ぁ…」


何声掛けてるんだ自分!と更に自分を責めた 
彼はラリーを止めこちらに振り返った


「なんだよお前」

「…わかんない、けどほっとけなかったから」


それは本心だった 関わらないと決めていたが、どうしても彼の必死な姿をみて放っておくことが出来なかった


「ホント、お前なんなんだよ」


そう言うが彼は突き放すでもなくそのまま何も言わなくなってしまった

普通なら知らない相手にそんな事を言われたらスルーするが今はそんな気力もないようだった


「…私はテニスについても詳しくないから役に立たないかもしれないけど、話くらいなら聞けるよ」


それが彼女とブン太の出会いだった


「…今思うと刹那には感謝しなきゃだよな」

「は?」


行き成り何を言い出すんだこいつと冷たい視線を向けてくる刹那を見て丸井は苦笑する

(こんな態度だけどちゃんと見てると表情がころころかわるんだよなぁ)


刹那は無意識に周りを拒んでいる事に気付いたのは同じクラスになってから 
それまでは全然知る由もなくて、でも俺がテニス部としてやっていけるようになったのは刹那のおかげで


「ガム、噛めばって言ってくれたの刹那じゃん」

「もしかしてその日から私はお菓子が係りになってしまったのか…」

「お菓子係って…まぁいいや」


深くかかわってみると、刹那は何気に柳とかと知り合いで 
まぁ知り合い程度らしかったのだが…俺は結構刹那に構うようになってから皆にもバレて 
気付けばレギュラー皆が溺愛するまでになってしまった


「…でも皆に負ける気はないぜぃ」

「ブンちゃん目標高いね」

「刹那が思ってるのとは違う目標だろうけどな」

「??」


正直あんな事が合ってから刹那には結構メンタル面で支えてもらってる所が多くて、自分でも知らない間に依存してたりしてると思う。


「まぁ頑張れブンちゃん」

「おう、ありがとな」


今は、刹那が目の届く位置にいてくれればいい



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bkm