「…先輩、ちょっといいっすか?」
「切原くん、どうかした?」
いっちゃんとそんな会話をしていた矢先の話だった
部活中に唐突に話しかけられてもしかして宮野さん関係の事だろうかと思っているとやはりその通りだった
「明日先輩に涼宮先輩にいじめされたとか言われたんですけど…ほんとっすか?」
やっぱりこんな感じのアクションできたか、そう思う反面私はあっくんの対応の方に驚いていた
あっくんの性格上私にすぐ掴みかからん勢いでキレてくるだろうと思ってたのだが
…流石部長のいっちゃん、私なんかより全然あっくんのことわかってる
「私、そんなことしてないよ?する理由もないし…」
「…ですよね、やっぱり」
「やっぱり?」
聞き返すとあっくんが困ったように眉を潜める
「涼宮先輩はマネージャー頑張ってくれてるしいい人だって知ってるし」
「あっk…切原くん」
嬉しさのあまりあっくんと呼びそうになったが何とか言葉を飲み込むことができた
「でも明日先輩が嘘ついてるとか思いたくないし…」
真剣に悩んでる彼は本当に純粋でいい子だってことが再確認できた、なんというかあっくんてほんといい意味でまっすぐだよね
「…切原くんが信じたい方を信じればいいんじゃないかな」
「え?」
「自分の目と耳で確かめて、本当に信じられると思った方を信じればいいと思うよ」
あっくんが考えた末に宮野さんを信じると決めたなら私はそれでもいいと思うし、寂しいけど
そう思って彼を見つめているとギュッと目を閉じていた彼がゆっくりと目を開けて私を見つめてきた
「…俺、涼宮先輩を信じます」
「え」
「えってなんすか」
「いや、私君に信用されるような行いをしてたかどうかって思ったらつい」
「…先輩ちょっと変わってますよね」
「地味に傷つくよそれ」
そういうと彼はようやく笑った、やっぱりあっくんは笑顔が一番似合うよ
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bkm