傍観者は嘲笑う
「あー、ブンちゃんはもどちまったか…」

ついでにやぎゅーも忘れとるぜよお三方 
なんて思いながら視線を空に戻す 
変な転校生が来て数日、俺は何時も通り一線を引いている

「…心外ですね、忘れられるなど」

下で会話を繰り広げる3人に、屋上でのんびりする俺ら 
何時もなら、何時ものようにこの場所で皆で盛り上がってるはずなのに、アイツが来てから変わった 

俺達は気付いている、俺達も戻っている。

だがそれはしない


「まぁお前影薄いってことじゃな」
「・・・・」
「それにしても2人ともずるいナリ」

むーっと口をとがらせる仁王に柳生が溜息をつく

「なら君もいってくればいいでしょう」
「いーや、折角の特等席じゃ、楽しまないといかんぜよ」

不敵に笑った仁王の意図に気づいたのかまた溜息をつく柳生

「お前さん幸せが逃げるぜよ」
「そうさせているのは君ですよ仁王君」
「プリ」
「私は知りませんからね」
「と言いつつ俺と行動を共にしているお前は矛盾の極みナリ」
「……」

面倒そうな表情を浮かべた柳生ににやりと笑った仁王

「まぁーお前さんの黒い本性が出る頃にはおわっとるじゃろ、この楽しい劇も」
「黒い本性とは心外です、全く…」

まぁ、偶には傍観してみるのも面白いですね…勿論刹那さんに被害が及びそうになれば介入しますが
涼しい顔して言ってのける紳士に今度は詐欺師が溜息をついた

「お前さん、気持ちは解るが少しは我慢しんしゃい、折角のお客さんじゃ」

散々踊ってもらってからでも舞台を降りてもらうのは遅くないじゃろ?

「君の方が酷いですよ仁王君」
「それは否定せん」
「まぁあの人には少々痛い目に会ってもらう位がちょうどいいでしょうね」
「そうじゃのう、そろそろ何かする気らしいしな」

頭が痛いという様な表情で眼鏡を押し上げる柳生の言葉を聞いて仁王は口元を吊り上げた 


踊れ踊れ、精々三日天下に溺れるがいいさ



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