手出しはさせない


「ブン太!」
「ぉ、ぉう?!どうした?」
「・・・どうしたの?私と居るのに考え事なんてー」

ムスッとする明日に何でもないと軽く流した。きっと昨日までの俺なら自分でもあり得ないと思う位でれっと返したのだと思う

何だかわからないがある日を境に彼女に魅せられていたのだ
だが彼女と関わるよりもマネージャーである刹那の方が隣に居て心地が良いことに気づき始めた時だった、俺は刹那を好きだった理由を思い出したんだ
一体どんな原理であんなことになったのかは分からないが、刹那に色んなものをもらったの日々は本物だ


「・・・やーめた」
「え?」
「止めだ止め、気付いたんだから自分に嘘付いてまで慣れ合わなくてもいいだろぃ?」

予想外に思っていたよりも低い声が出たので自分も内心驚いてしまった

「ブ、ブン太…何言ってるの?」
「俺、お前の事嫌いだからさ、これから関わんないでくれる?以上」

それだけピシャリと言い放つと彼女の近くの席を立った、元々あいつと話すためにあの席に座っていたのだから

「刹那、菓子くれよ」
「ぇ…ぁ、うん!」

唐突に話しかけたからか、急に俺がいつも通りの行動をしたからなのかわからないが
彼女は数秒呆けた後に綻んだ笑みを見せた…そうだよ、この笑顔のおかげで俺はここまでやってこれたんだ

「なーあいつ魔法でも使えんの?俺が刹那よりアイツ優先するとかマジありえねぇ」
「魔法は使えないと思うけど…戻ってきてくれてありがと、ブン太」

結構、自分で思ってたよりも寂しかったんだよね 
そう言って困った様に笑った彼女に胸がキュッとした

(ほんと、何で刹那よりアイツが好きとか…数日間の俺死ね!マジ死ね!)

そう思いながらも数日ぶりに呼ばれた名前に嬉しくなった俺は現金なやつだと思う

「なぁ、そういうって事は…他の奴も?」
「うん、いっちゃん以外は皆」
「うわ…幸村くんとかラスボス味方につけてるのかよ」
「あはは、私もそう思った」

幸村くんとか…勝ち目半分以上こっちにあるんだけど 
此方を睨んできている宮野の視線を先程から感じているが完全無視で刹那を見つめる 
彼女も視線に気づいている様だが受け流している様だ、彼女は興味がないものにはとことん冷め過ぎだと思う

・・・ま、俺が戻ってきたからにはクラスでもこいつに手出しはさせねぇぜ、宮野


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bkm