「刹那…あの空気に耐えられなくてここに来たんだろう?」
「…うん」
ほんとは、こうなることを望んでたはずなんだ
私はとことん人間のクズみたいなやつだから、この後あの逆ハ補正の宮野さんが陥れられる姿を傍観していたかった
でも今は違う、傍観とかいう問題でもない、ひたすら寂しいと思ってしまう
私はだれにも頼らないつもりだった、寧ろだれにも頼れないと思っていた
だから彼が来てくれて本当に嬉しかった
そう思っていると彼は不意に私の頭を撫で始めた
「いっちゃん…止めて」
「止めない」
「…私、泣きたくないよ」
自分自身で声が震えだして来た事にも気付いた、でも彼は私の頭を撫でる事を止めてくれない
「アイツ…どうしてやろうか」
「駄目だよ…下手に手出したら皆に…」
「大丈夫、俺も動く」
そう言った彼の眼には怒りや憎悪も入り混じって見えた
…仲間を駄目にされたのだ、何も思わない方が可笑しい
「刹那…俺に協力してくれるかい?」
「…もちろん」
自分に何が出来るのか、不安だったけれど彼が味方なら百人力な気がした
(・・・というか、魔王味方な時点で勝てる気しかしないんだけど)
場違いだけどそう思ってしまったのは仕方ないと思った
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bkm