七色の声を持つ歌い手グリンさん





「なぁ」

「…はい?」


やっと昼休みだなーとか思って歩いていたところ後ろから声をかけられて振り返るとカッパが

…いやカッパではなかった、普通に人間だった。

確か光と同じ部活の先輩の…



「あ、ホモ先輩?」

「ぁあ゛?」

「す、すみません!光が言ってたものでついっ!!」

「…財前のドアホは彼女に先輩の説明もできひんのか」

「…私が彼女って知ってるんですか?」

「おん」


さらっと真顔で言われて私の心がピシリと凍り付いた 
え、何、私一体どれだけの人に光の彼女として身バレしてるの!?


「あーちゃうちゃうこないなこと話に来たとちゃうねんて」

「?」

「聞かれたくないかもしれんしちょいついてきぃ」

「あ、はい」


一体何の話だろうと期待半分不安半分でついていく、連れてこられたのは音楽準備室だった


「…それで、お話というのは?」

「自分白玉やんな?」

「…え?」

「絵描きの白玉か言うてんねん」

「はい!」


威圧に耐え兼ね速攻で返事をする

…あれ、なんでネットの方で更に身バレしてるの?
そんな疑問が顔に出ていたのかホm…一氏先輩は光から聞いたと教えてくれた



「で、俺グリンいう名前で歌ってみたやっとるんやけど」

「え…ぇえ!?あの七色の声を持つグリンさん!?」

「実質何でもできるけどな」


なんてことない様子でさらっと言った彼に私は驚きを隠せなかった 
グリンさんと言えば今も言った通り七色の声を持っていることで有名
モノマネは何をさせても満点以上、歌唱力もある 
今人気の歌い手で歌ってみた動画を投稿した次の日には10万再生を余裕で上回る

今正に人気の真っただ中にいらっしゃるお方だ 
ちなみに光は人気安定してきているがやはり人気は同等、私なんぞが組んでていいのだろうかと思う


「そ、それでグリンさんが何故私に…?」

「おう、それが本題なんやけど」


そう言って憧れのグリンさん…一氏先輩は私の目の前にびしっと指をさした
なんというかアニメでよくある光景ですね



「今回声真似で出すやつのPV作ってほしいねん」

「…え、マジですか?」

「おん」

「で、でも光にも一応聞いて…」

「細谷さんの声真似」

「うぐっ…」

「なんなら中井さんとかも…」

「引き受けます、何なりとご注文ください」


ご、ごり押し過ぎる…というか声優疎い方の私が推してる声優何故わかったし
…そう思うが魅力的な注文に心が折れてしまった


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