くららとぴかるとわたし





「…部長なんでおるんですか」

「え、保険医代理やで?っちゅーか財前は何しに来たん?」

「音彩の見舞いっすわ」


そういうなり光は白石先輩とは反対側の椅子を近づけて座った、若干心配そうに顔を覗き込まれる


「熱なんぼあったん」

「7度8分」

「思いっきし熱やろ、なんで今まで保健室行かなかったんや」

「だって大丈夫かなーって」

「アホ」


あ、アホだと!?
そう言いかえしたかったが頭が痛かったので大きい声を出すわけにもいかず渋々口を閉じた
すると白石先輩が珍しいものを見るような目で私たちを見比べていた


「仲良しさんやなぁ、あ、まさか付きおうてたりするんか」

「そのまさかっすわ、部長変態が移るんでもっと離れてください」


そういうと先輩は驚いたような表情をしてから苦笑した


「ひっどいなぁ…ちゅーか財前、今授業中やろ」

「音彩の生き死にがかかっとるんで全力で抜け出してきました」

「ダメやろそれ」

「というか私の生き死にってそんな大事じゃないから」


光って前から当たり前のように真顔で変なこと言う時があるんだよね…
まともな方だけどやっぱり変なところあるのは否めないよね、私よりはまともだと思うけど。


「にしてもあの財前がなーへぇー…」

「なんすかその顔、キモイんでやめてくれます?」

「キモイて…今日は一段と毒舌やな」


…ん?私放置プレイじゃないか?これは寝てもいいのかな?
そう思って私はゴロリと横向きになって目を閉じた、ふと手に感じたぬくもりに少し微笑みつつもどっと出てきた眠気の波に呑まれた


「――財前ベッタリやんなぁ」

「うっさいっすわ、ちゅーか部長変なことしとらんでしょうね」

「冷えピタ張ったっただけやで?」

「…」


その言葉に不機嫌オーラを出す財前に白石が笑う


「音彩ちゃんええ子やから、大事にするんやで」

「そんなん、俺が一番わかっとりますよ」

「はは、せやなぁ」


こんな調子で私が寝た後も光が白石先輩にちょっかい出されてたことは全く知らなかったのだった…


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