「ねぇ冷泉さん、ちょっといい?」

「え…あ、うん」

休み時間、まさかの宮野さんに話しかけられた 
しかも呼び出し…これはもしかしなくても私この前ので目をつけられてしまった感じですかね?

というかいつも教室にいても蔵ノ介くんや謙也くんは彼女のアピールを受け流して私のところに来てくれるからそれもあるだろう 
私傍観のはずなのになんでこの子補正かかってないんだろう
…まぁ補正にかかった皆なんて見無くないからいいんだけど 

そう思っていると人気のない場所に来た


「…あなた、転校してきたの?」

「うん、一年生の時に」

「トリップしてきた?」

「え?」


まさかこんなにさらっと聞かれるとは思っていなくて思わずポカンとしてしまった


「補正がかかってるわけでもないのになんで…」

「ちょっとまって、何の話か見えてこないよ」


私は一応伏せた方がいいと思って知らないふりをすると彼女はギッと私を睨みつける
…整ってる人って怒った顔も様になるね


「…あなたのせいで白石くんたちが私に見向きもしないのよ!」


何を言われるかと思ったら…彼女は唐突にそう叫びその後も皆に関わるななど散々一方的にキレられた 
なんとなく言われそうなことは想像できてたから特に怖いこともなかったが…


「宮野さんの言いたいことはわかったけど、私皆とは友達で居たいから無理だよ」

「はぁ?」

「宮野さんだって友達と関わるなとか言われたら嫌でしょ?」


私、普通の事いってるよね?
しかし火に油、彼女を余計に怒らせる結果になってしまったようで


「あなた、いい加減生意気なのよ!」


怒りが頂点に達したらしい彼女が思い切り手を振り上げたので反射的に目を瞑る 

―――パシン 


その音が聞こえたのは私の頬からではなくもう少し上の位置で 
不思議に思った私は恐る恐る目を開けた


「おいお前なにしてんねん」

「ユウジくん、どうして…」


私が驚いて彼を見上げると助けてくれた彼はこちらを見て呆れたようにため息をつくと彼女の手を離した


「ひ、一氏くん、私っ」

「言い訳とか聞くんもめんどい、とりあえずどっかいけや」


そう言って宮野さんを睨むユウジくんを見てから悔しそうに私を睨みつけて宮野さんは去っていった


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