「…ん?」


ふと図書室に来てみると相変わらず人が居ない、そう思っていたのに今日は1人だけいた
それも、部長や謙也さんと同じクラスで偶に部活中にも名前が出てくる冷泉緋蝶だった


(…いや反対側に脚立あるしそれ使えや)


内心冷静にツッコんだがプルプルしながらも一生懸命取ろうとする姿が
何ともいえず可愛かったのでもう少し眺めてみようと思う 

そして取れそうかと思った時勢いがつきすぎたのか彼女の身体だけが後ろにぐらついて、思わず助けに入ってしまった
ポスリと音を立てて腕ん中に収まった彼女はやっぱりちっさくて可愛い、女だからだがやっぱり柔らかいし

…って俺変態みたいやん、先輩達とはちゃうし(軽蔑の心 
でもそんな方向に思考が向かってしまうほど彼女は魅力的、こんなに一年遅く生まれた事を悔しく思った事はない、正直先輩達が羨ましいと思った

そんな事を思いながら彼女の取りたかったであろう本を取って見せ、自分は話を聞いていたと話す


「あ…じゃあ、あの…財前くんって君のこと?」


正直自分の事を知られているとは思わなくて呼ばれた時は嬉しかった
思わず表情を緩めると彼女は驚いた様に目を見開いた後プイッと顔を背けた…見てすぐわかるほど真っ赤になってる


「財前くん」

「名前で呼んでください」

「…光くん」

「はい」

「…これ以上は恥ずかしいので放して頂けると嬉しい、です」


そう言った彼女は本当に恥ずかしそうで少し声が震えていた というか・・・


「アカン、緋蝶さん可愛すぎや」

「え・・・ぇえ!?」


思わず声に出すと思い切り驚かれた 
その勢いでもう一度こちらを見てきたが目が合うとやっぱり顔を逸らす…小動物みたいでかわええ… 


「えっと、その…キャパオーバーなんで勘弁してください」


降参と言わんばかりに先程渡した本をぎゅっと抱きしめながら小さい声でポツリと言った
ほんと男慣れしていない事が一目瞭然で、ちょっとしたことで異常に照れる彼女が可愛いすぎる

あぁホントに悔しい、何で彼女は年上で俺は年下なのだろうか。
それが悔しいから、俺は緋蝶さんの前ではプライドとか無駄な意地は張らないようにしようと思う…他の人はまだ手出してないみたいだし


(・・・ぼやぼやしてると、俺が貰っていきますよ先輩達?まぁ渡す気無いですけどね)


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