「う・・・」
と ど か な い !
私冷泉緋蝶は現在進行形で図書室の本棚と格闘中…正確には届かずに背伸びしてるだけなんだけどね
(後、少し・・・!?)
サッと取れば勢いでとれると思ったのだが引っ掛かったせいで思わずバランスを崩して後ろに倒れそうになる
(あ、危なっ…!)
そう思った時、誰かにポスリと後ろから片手で抱き締められた
「危ないッスよ緋蝶さん…取りたかったのこれですか?」
そう言ってもう片方の手で先程から苦戦していたそれを当たり前のように取って見せた
「そ、そうですけど・・・あの?」
うん、私も普通に本受け取ったけどさ・・・ナチュナルに抱きしめられてナチュナルに話しかけられてるけど…
初対面ですよ!?いや、私は知ってる、原作知識もあるしアニメもOVAも見てたさ、ピアスくんこと財前光くんでしょ!
それは知ってるけど何故こうなった!そう思ってフリーズしていると彼は察したかのように話を進める
「あ、緋蝶さんの事は部長や謙也さんから聞いてたんで」
「あ…じゃあ、あの…財前くんって君のこと?」
そう言って見上げるとコクリと頷きつつもフッと笑う・・・って言うか顔近いっ!!
近距離で微笑まれたので思わず顔を逸らしてしまった
…やばい顔火照ってるかもその行動でまた明らかに笑われた気がしたのだがまぁお得意のスルーをしようと思う
…スルーしないとやってけない
「財前くん」
「名前で呼んでください」
「…光くん」
「はい」
「…これ以上は恥ずかしいので放して頂けると嬉しい、です」
スルーする前にこの状況から逃れないとスルーしようがないと思ったので恥も承知で口に出すと彼が石化した
「ひ、光くん…?」
「アカン、先輩可愛すぎや」
「え・・・ぇえ!?」
可愛い、だと!?生まれてこの方異性とか小春ちゃんにしか言われてないぞ!
後は蔵ノ介くんや謙也くんに冗談で可愛い可愛いって言われる位で!
ユウジくんは寧ろ怒ってくるし!こんなさり気なく当たり前のように言ったの2人目だぞ!
「えっと、その…キャパオーバーなんで勘弁してください…」
結局そういうのが精一杯なのでした
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