好きな味


「ぁ゛―…」

「なんや自分風邪か?」

「…季節の変わり目良く引くんだよね」

「身体弱」

「うっさいイケメンに言われたくない」

「…それ関係無いやん」


しょうがないじゃないか、イケメンなんだし、
悪口言っても最終的にこの美形!とか言っちゃう勢いなんだもん、なんて思う


だってこの人中学生なのにピアスしちゃってさ、
似合ってるし、染めてない黒髪は痛んでなくて綺麗だし

基本無関心…というかクーデレでちょっと意地悪だけどホントは優しいし

・・・あれ?私好みじゃね?


其処まで考えてその考えを消した
・・・駄目駄目、好みと付き合うタイプって結構違うもんだしね

好みだから付き合うってわけでもないし、好きだから付き合うんだもんね


この間先輩に好きって言われたけど驚いただけであんまり実感すらわかなかったけど・・・。

・・・って、肝心の好きがわからない私が何言ってるんだって感じなんだけどね


「もう、飴ちゃん食べるからいいし」

「何で飴ちゃんだけ関西なん、関東人め」

「うっさい、飴ちゃんて可愛いじゃん、関東人馬鹿にすんな」

「馬鹿ちゃう、アホや」

「…はぁ」


こう、微妙な違いに私も慣れるまで時間がかかった

馬鹿って言うと過剰に怒るし(特に財前くん
マックって言うとマクドやって怒るし(特に財前くんが 

・・・・というかこの人によって色々教えこまれてる気がする


「…桃?」

何だかんだでちらりと私が飴の袋から取り出した味を見ている


「うん、桃大好きなの」

「ふーん」

「聞いといて凄い無関心…」


そう思いながらも何時もの事なので気にせず口に飴を含む 
じんわりと広がる甘い味に思わず口元が緩みそうになった


「はぁ…」

「ほらはよマスクせぇ」

「うん…ありがと」


鞄から出して放置していた袋からマスクを一つ取り出して渡してくるあたり、
彼は世話好きと見た…君はいい家庭が築けそうですね財前くん。


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