「財前くん、次暫く会えないよね」
「あ…せやな」
あの日から数日、私達はバスケの全国大会が始まろうとしていた
そして私は何時ものように送ってもらっていた
「だから、はい」
「…これなんやねん」
「桃の飴!財前くん甘いの好きだからこれ絶対気にいると思うよ」
私のお勧めだから!と言って袋を渡した
・・・流石に一個渡すのもどうかと思って日頃の送り迎えへの感謝をこめて袋一個丸々上げてみた
すると彼は早速袋を開けて一つ口にした
「…あ、ホンマにうまいわ」
「でしょ?」
良かった、口にあって ホントは少し不安だったんだなんて言いはしないけど…
「で、俺なんで飴ちゃんもらっとんの」
ころころと口の中で飴を転がす財前くんが可愛く見える
…駄目だ、お見舞い来てくれた日からどうも何時もよりフィルターかかって見える
「反対方向なのに送り迎えしてくれるから、お礼…って言っても私の好きな飴だけど」
「別にええのに…ま、おおきに」
「いーえ」
「朴木の好きなもん共有できるっちゅーのは嬉しいわ」
「へ?」
その発言に驚いて彼を見ると少し照れた様に頬を少し染めて顔を逸らした
「じゃ…試合頑張れや」
「あ、ちょっと!」
そのまま彼は颯爽と帰っていった…けど
「私の好きなもの共有できてうれしいって…どういう事?」
私も、彼に好きなもの認めてもらって嬉しいけど…って
「ないないないない、絶対ない」
もしかして私の事…とか思ったけど流石にこじつけ過ぎだし自意識過剰すぎる
でも、結局彼のあの発言は謎のまま数日間を過ごす事になるのだった
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